2007年12月31日(月)「しんぶん赤旗」
「氷河湖決壊の危険」
07年アジア環境重大ニュース
温暖化の脅威に懸念
「ヒマラヤの氷河が危機。氷河湖の決壊と洪水の危険が高まっている」――地球環境戦略研究機関(IGES)は「二〇〇七年アジアの環境重大ニュース」(暫定版)を三十日までにまとめました。
「アジアの環境重大ニュース」は、IGESが一九九八年の設立以来、環境問題の重大ニュースを収集、毎年発表・発行してきたもの。今年は、世界的に関心を集めた地球温暖化などについて、非常に多くの報告が寄せられ、環境専門家らが選んだ重大トピックは九十四件にのぼりました。
地球温暖化問題では、国連環境計画(UNEP)がヒマラヤの氷河融解がこの十年で急速にすすみ、氷河湖の決壊の危険に警鐘をならしたことや、集中豪雨による洪水などの温暖化の脅威をピックアップ。
「アジア太平洋地域のもっとも差し迫った環境問題のひとつ」という水問題では、二〇五〇年までにアジアの十億人以上が水不足に直面するUNEP報告をとりあげ、「水と衛生問題を最優先課題とすべきだ」とした第一回アジア・太平洋水サミット開催をとりあげています。
このほか、年間五千人もの早期死亡被害がでているフィリピン・マニラの自動車排ガス公害による大気汚染問題や、ネパールの鳥類の三分の二の種で個体数が減り、鳥類の89%が生息地の消失・破壊に直面しているネパール鳥類保護協会の報告書公表などを紹介。
同研究所は、アジア太平洋地域が温室効果ガスの一大発生源であると同時に、地球温暖化による気候変動の脅威をもっともこうむると懸念されると指摘しています。
報告は、UNEPアジア太平洋地域事務所、中央アジア地域環境センター、バングラデシュ、ブータン、中国、インド、インドネシア、日本、ネパール、ニュージーランドなど、国際機関やアジア太平洋地域十七カ国。来年三月に最終版(和英別冊)を発行する予定です。
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