2008年1月5日(土)「しんぶん赤旗」

国民の利益を守って 日本共産党国会議員に聞く

生活直撃の原油高騰

投機規制と対策提起

吉井英勝衆院議員


 暮らしと営業に大打撃を与えている原油高騰問題。日本共産党国会議員団の「原油高騰問題対策委員会」責任者の吉井英勝衆院議員に聞きました。


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 ―影響は、どう広がっているのでしょうか。

 この間、日本共産党は全国各地の深刻な実態を調査してきました。私も京都での原油対策懇談会に参加し、東大阪では二百軒余りまわって業者や市民の暮らしへの影響を聞いてきました。

 原油高騰の直接的打撃を受けているのは、やはりトラック運送業界です。荷主からは単価を抑えられ価格に転嫁できないのに、燃料費はあがっています。

 原油をもとにした原材料費の値上げも多くの業者に打撃を与えています。たとえば、クリーニング屋さんに聞くと、揮発性の溶剤や包装用のビニール、プラスチックハンガーなど、石油関連の細かい材料・溶剤がたくさんあるんですよ。

 さらに、高齢者、障害者、母子家庭など低所得者層の生活にも直接響いています。

値をつり上げ

 ―そもそも、なぜ原油が急騰したのでしょうか。

 アメリカやブラジル、ロシア、インド、中国などでの石油の消費はたしかに増えていますが、供給は足りています。問題は、需給関係で値段があがるのではなくて、ヘッジファンドなどの投機資金が値段をつり上げているということです。

 ところが、こんなにひどい原油価格高騰があっても、日本政府は、まじめにヘッジファンドの規制に取り組もうとしません。昨年のハイリゲンダム・サミットでは、議長国のドイツが投機規制を主張しました。しかし、日本政府はアメリカとともに規制に反対しています。

 昨年十二月二十一日の経済産業委員会で、私は「原油高騰で一番被害を受けている日本が率先して、投機規制の国際協調の枠組みづくりをすべきだ」と、政府の姿勢をただしました。しかし、甘利明経産相は「原油高騰の主因はヘッジファンドの投機にある」と認めながら、「(市場に)直接手を突っ込むことは自由主義経済の原則論をまげかねない」と規制には消極的です。

 ―原油の安定供給に対する国内の規制措置はないのでしょうか。

 日本共産党は十二月四日、政府に対し、原油高騰問題の申し入れをおこない、投機規制とともに緊急にうつべき五項目の対策(別項)を求めました。

 政府は、石油の精製業者や元売業者に価格などを指導できる石油業法を二〇〇一年六月に規制緩和の一つとして廃止しましたが、現行法でも、できる施策はあります。

 一つは石油備蓄法です。政府は必要な場合、石油を放出するということもできますし、価格調査をやって公表することにより、世論の力で利益を還元させることができます。大手石油元売り六社は、この三年半だけでおよそ二兆六千億円もの利益をあげているのです。

 もう一つは税制で、石油諸税の引き下げがあります。たとえば、揮発油税の暫定税率の上乗せ分を原油高騰がおさまるまでゼロにすることで、緊急の減税対策をとることもできます。

実効性が大事

 ―政府も原油高対策を発表しましたが、どう見ますか。

 広範な世論や運動に押され、政府の対策にも党の申し入れと同じような項目が盛り込まれました。ただ、政府の対策は実効性をともなうものになっていません。

 たとえば、農漁業や中小企業への支援では、漁船などが省エネ型のエンジンを取りつける取り組みを支援するといっていますが、今日、明日、漁に出る人には間に合いません。

 低所得者への補助も地方自治体への特別交付税を充てて対応するとしていますが、地方自治体のどの取り組みに交付税措置があるのか具体的に示されていません。

 日本共産党の各地の議員団も申し入れをしていますが、今後、政府交渉で具体的議論をしていく必要があります。

 世論と運動で政府を追い詰め、きちんとした対策を打たせるために、さらに全力を尽くしたいと思います。

 (聞き手 佐藤高志)


議員団の申し入れ(骨子)

 一、投機マネーを規制する国際的協調の実現にあらゆる方策を検討する

 一、便乗値上げの監視強化、灯油量の確保と価格の引き下げの緊急対策を行う

 一、石油・エネルギー政策の規制緩和、「市場への不介入」方針を見直す

 一、買いたたき・不当廉売・差別対価などを取り締まり、公正な取引価格を実現する。中小企業に対する緊急融資・保証制度を創設する

 一、運送業者、中小業者、農林漁業者などに緊急の減税措置を講ずる

 一、政府に関係閣僚による原油高騰問題戦略本部を設置する


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