2008年1月7日(月)「しんぶん赤旗」

海自のインド洋給油 どこから調達

秘密だらけ 「有事だから」

関係者証言


 「『有事』だから秘密で当然」―。インド洋で海上自衛隊が行った米軍など外国艦船への給油活動。その燃料調達先の商社について防衛省は、国会論戦でも「軍事秘密」を盾に、ひた隠しにしています。本紙(昨年十二月二十五日付)は、調達商社二社を明らかにしましたが、同省はいまだに正式に公表しようとしません。かたくなな秘密主義の背景に「有事」を口実にした危険な軍の論理があることが、関係者の証言などで浮き彫りになりました。


 「『赤旗』に商社名をスクープされて防衛省幹部はショックだったようだ。しかし、マスコミの取材にたいして防衛省は詳細を明らかにしなかった。なんでも秘密にする傾向がますます強まっている」。防衛省を取材するマスコミ記者は、こうあきれます。

 給油燃料の調達は、大手総合商社「伊藤忠商事」(大阪市)と燃料関連商社「旭日通産」(横浜市)との随意契約。百五十二回の契約(二〇〇一年から〇七年四月二日現在)すべてを二社が独占し、税金二百二十五億円が投入されていました。

 初めから特定の業者と契約を結ぶ随意契約は、不透明さが汚職の「温床」と指摘されています。批判が高まっているにもかかわらず、給油燃料調達で随意契約に固執し、企業名も秘匿するのはなぜなのか。関係者はこう語ります。

 「随契で二社が独占していると批判されますが給油活動は『有事』対応なんですよ。『有事』のときに悠長に入札なんかやってられますか」

◆    ◆

 自衛隊の幹部を集めた会議で制服組トップである統合幕僚会議議長が「今や、ある意味で組織にとって『War Time』(戦時)である」と強調したことがあります。この「戦時」意識が、給油活動にも露骨にあらわれています。

 関係者は「油を運ぶ船がテロに襲われるのが一番こわい。船員にイスラム原理主義者が紛れ込むかもしれない。だから秘密裏に、日本人だけで船を仕立てることが必要だった」ともいいます。

 給油活動の本質は、憲法違反の海外派兵による「戦争支援」です。これを給油にかかわる側はどうとらえているのか。関係者はこう語ります。「湾岸戦争のときは、金で解決して国際的に批判された。今回は、外国艦船への給油で、国内外で大歓迎されている」

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 給油活動は、巨額の税金が投入されながら、燃料の調達先や調達場所など、国民には不明なことだらけです。

 商社二社は、どこから燃料を調達しているのか。

 防衛省が作成した「中東地域の港湾に停泊中の艦船を納入場所とする艦船燃料」の「募集要項」をみると、「燃種」は「軽油2号(艦船用)又は米軍規格(MIL SPEC F―76)」とあります。

 国会でも同省は燃料の調達について「日本の商社が現地で調達をしている。契約は民民ベース」と答えるのみです。「現地」とはどこなのか、調達先の石油会社はどこなのかなど、情報は公開されていません。

 旭日通産は、昭和シェル石油と特約店契約を結ぶなど深い関係です。昭和シェル石油は本紙の取材に、「インド洋給油の事実はない」と答えました。伊藤忠商事は「契約に守秘義務がある」と回答を避けています。

 日本には、世界に誇る平和憲法があります。それを無視して「有事」だと非民主的な秘密主義を強めることは許されるものではありません。


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