2008年1月13日(日)「しんぶん赤旗」
海自再派兵
米の戦争拡大と連動
アフガンに海兵隊増派検討
新テロ特措法が十一日に成立したことに伴い、米軍などに給油支援する目的で海上自衛隊の補給艦がインド洋周辺海域に再派兵され、二月中旬には現地で活動を再開するもようです。アフガニスタン情勢の悪化に対処するため、海兵隊を増派して軍事作戦を強化する米軍の動きに呼応する形となり、米軍の戦争拡大を直接手助けするものとなります。
米国防総省当局者は九日、米軍がアフガンに約三千人の海兵隊を増派し、タリバンなどの武装勢力による春の攻勢に備えることを検討中であることを明らかにしました。ゲーツ国防長官が近く、結論を下します。
治安情勢が悪化
米軍は現在、アフガンに二万七千人の部隊を配備。その約半数の一万四千人は、北大西洋条約機構(NATO)が指揮する国際治安支援部隊(ISAF)に組み込まれています。ISAFは約四万人。それとは別に独自に行動する米軍部隊一万三千人を含めると、約五万四千人の外国部隊がアフガンに駐留しています。
アフガンの治安情勢は昨年、急速に悪化。米国は、それに対処するには七千五百人の増派が必要だとし、NATO諸国に増派を要求してきました。ところがNATO各国でアフガン軍事作戦継続に対する反対の声が高まり、増派要求に応じられないため、米軍増派で対処せざるをえない状況になっています。
増派が検討されているのは、侵攻作戦の先頭に立つ海兵隊の地上部隊。四月までに派兵し、戦闘が最も激しいアフガン南部に七カ月間、展開される見込みです。海兵隊はこれまでイラクに集中的に派兵されてきました。
今回の海兵隊増派は、アフガンに隣接するパキスタンの情勢悪化にも対処する目的があるとの指摘もあります。すでに米軍がパキスタンへの越境攻撃を検討しているとの報道があります。アフガン駐留の米第八二空挺(くうてい)師団のボーテル指揮官は八日の記者会見で、米軍のパキスタンでの活動は「現時点では計画されていない」と述べながらも、「パキスタン側との協力、協調の改善に努力している」と発言しました。
再建の関与こそ
海自の再派兵は、米軍のアフガンでの活動強化と軌を一にすることになります。十日のロイター通信によれば、NATOのデホープスヘッフェル事務総長は「数千人の部隊の注入はアフガンの解決策ではない」と述べ、軍事的対応でなく、アフガン再建・開発への長期的関与こそが必要だと強調しています。