2008年1月16日(水)「しんぶん赤旗」
障害者自立支援法
予算案にみる見直し内容
「特別対策」を継続
負担軽減さらに拡大へ
二〇〇八年度政府予算案には、障害者自立支援法の「抜本的な見直しに向けた緊急措置」が盛り込まれました。原則一割の「応益負担」は変わりませんが、障害者・家族・関係者の運動やこれと結んだ日本共産党の取り組みが政府を動かしています。政府の「見直し」を見てみました。
〇六年四月に施行された障害者自立支援法は、施行前後から重い負担に批判が噴出。政府は同年十二月に、総額千二百億円になる「特別対策」を打ち出さざるをえなくなりました。それでも障害者・家族の負担は重く、昨年十二月には与党プロジェクトチームが「見直しの報告」をまとめていました。
「緊急措置」では「特別対策」を継続するとともに、利用者負担の軽減と事業所支援を拡大しました。
改善への一歩
「特別対策」では、障害者の居宅・通所福祉サービスの一割負担の月額上限を、「低所得2」(市町村民税非課税世帯)は六千百五十円、「低所得1」(収入が年八十万円以下の世帯)は三千七百五十円に引き下げていました。今回はさらに、「低所得2」は三千円、「低所得1」は千五百円に引き下げました。
また、福祉サービスの負担上限額を決めるときの所得区分を、「世帯単位」から、「個人単位」を基本とすることに変更。「本人と配偶者のみを勘案する」としました。世帯単位のために、本人の収入が少なくても負担軽減を受けられず、やむを得ず世帯分離をする家族もいました。個人単位への変更は障害者・家族の強い要求を受けたもので、改善に向けた一歩です。
障害児をかかえる世帯の負担軽減が受けられる範囲も、年収六百万円程度から八百九十万円程度まで広げました。これにともない、年収八百九十万円程度までの住民税課税世帯の月額負担上限は四千六百円に抑えられます。
「特別対策」の利用者負担軽減は、期限が切れる〇九年三月以降も続けられます。
報酬単価微増
自立支援法施行に伴い通所施設などの事業所は、報酬が「月払い」から「日払い」になったことと、報酬単価の引き下げによる大幅な減収で、運営が深刻な危機に直面しています。
〇六年の「特別対策」では、法施行前の九割の収入を保障しました。今回はそれに加え、通所サービスの報酬単価を約4%引き上げます。
しかし、これは小手先の見直しにすぎず、日払いを月払い制度に戻すことと、一刻も早い報酬単価の抜本的な引き上げをしなければ、根本的な問題解決にはなりません。
小手先のもの
今回の「緊急措置」の予算総額は百三十億円です。そのうち利用者負担の軽減については、七十億円であり、「特別対策」の〇八年度予算(百二十億円)を合わせても、わずか百九十億円にすぎません。福祉サービスを受ける低所得者の負担を軽減してはいますが、それ以外の自立支援医療、補装具は軽減の対象外です。何より、障害者・家族からの批判が強い「応益負担」には手をつけていない小手先のものです。「抜本的見直し」というなら、政府は障害者、施設を苦しめている元凶の「応益負担」を廃止すべきです。(小林拓也)
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