2008年1月17日(木)「しんぶん赤旗」
75歳以上「差別化」狙う
厚労省が中医協に
診療報酬改定案示す
厚生労働省は十六日、二〇〇八年度診療報酬改定の方針案を、中央社会保険医療協議会(中医協、厚労相の諮問機関)に示しました。方針案では、四月から実施予定の七十五歳以上の後期高齢者医療制度の診療報酬の具体的方向を初めて示しました。後期高齢者の「心身の特性」に応じたものとして、「差別化」をにじませています。
方針案では、後期高齢者医療制度の診療報酬について、「入院」「在宅」「外来」「終末期」の四項目で考え方を提示しました。
外来医療では、一人の医師が患者を総合的に診察する「高齢者担当医(仮称)」制度の導入を打ち出しました。研修を受けた医師が定期的に診療計画を作成して診察します。高齢者が複数の医療機関にかからないようにすることで、医療費を抑える狙いがあります。医学管理や検査、画像診断などは、何度実施しても一定の報酬しか支払わない「定額制」とします。
入院医療では、「入院時から退院後の生活を念頭に置いた医療を行うことが必要」だと述べ、長く入院させない方向を示しました。退院支援計画を作成したり、末期のがん患者への退院時の支援・指導を行った医療機関への報酬を手厚くすることなどを盛り込んでいます。
終末期医療では、患者や家族の同意を得て「過剰な延命治療を行わない」などの診療方針を書面でまとめたり、「在宅死」を迎える患者に手厚い対応をした医療機関への報酬を上乗せすることを打ち出しました。
再診料については、現在、診療所(七百十円)と病院(五百七十円)で格差があることから、診療所の再診料を引き下げる案を示しました。同日の中医協では、日本医師会など医療側の委員が「基本的な技術料であり、引き下げは絶対反対」と表明。次回、改めて議論することになりました。
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