2008年1月19日(土)「しんぶん赤旗」
派兵恒久法 初の言及
消費税増税 「早期に」
首相施政方針
福田康夫首相は十八日、内閣発足後初めてとなる施政方針演説で、消費税率の引き上げを含む「税体系の抜本的改革」について「早期に実現を図る必要がある」として、消費税増税に執念を示しました。また、自衛隊の海外派兵を常時・迅速に可能にする恒久法について、その検討を進めることを明言しました。
福田首相は、「基本方針」の一つとして「国民本位の行財政への転換」を強調し、消費者行政の一元化や担当相の創設などをうちだしました。一方、小泉内閣以来の「歳出・歳入一体改革」を「徹底して」進めることを表明し、さらに、社会保障関係費の自然増を毎年二千二百億円抑制してきた「社会保障抑制」路線と「庶民増税」路線の継続で「財政健全化」を図るとする意思を鮮明にしました。
使途を道路整備などに限定し、無駄な道路をつくりつづける温床となっている道路特定財源について「(上乗せした)現行の税率を維持する必要がある」と強調しました。
また、「活力ある経済社会の構築」として、「経済成長戦略の実行」を掲げました。
自民・公明政権はこれまで、大企業のもうけ一辺倒の「成長戦略」を進めてきました。施政方針演説は、この路線の上にたち、大企業優遇を継続する姿勢を示したものです。
外交・安全保障分野では、「平和協力国家日本の実現」を掲げ、その目玉として、「迅速かつ効果的に国際平和協力活動(=自衛隊の海外派兵)を実施していくため、いわゆる『一般法』(恒久法)の検討を進める」ことを打ち出しました。
恒久法については、昨年一月に安倍晋三首相(当時)が施政方針演説で「時代に合った安全保障のための法的基盤を再構築する」と述べたことがありますが、恒久法の検討を施政方針演説で明言したのは歴代首相の中で福田首相が初めてです。
また憲法については、新たに項目まで設け、「改正」内容について「真摯(しんし)な議論が行われることを強く期待している」とし、改憲内容の議論を行うことまで求めました。
福田首相は、内政・外交にわたる「基本方針」について、「野党の意見も積極的に取り入れ」ることを強調し、民主党と協力しながら推進していく思惑を強くにじませました。
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