2008年1月19日(土)「しんぶん赤旗」
防衛省汚職
「真相究明」を口にせず
巨額の軍事費を食い物にする政軍財の癒着構造が明らかになった防衛省汚職。あれほど国民の怒りを呼んだにもかかわらず、福田首相の施政方針演説のなかでは、自らの反省も「真相究明」の言葉も一切ありませんでした。
福田首相が羅列したのは「文民統制の徹底」「防衛調達の透明性の確保」など抜本策とはほど遠いものばかりでした。
防衛省汚職では、年間約五兆円の軍事費をめぐり、東京地検特捜部の捜査が政界ルートにのびるかどうかが、今後の焦点の一つになっています。
注目される政治家の一人が久間章生元防衛相。守屋被告をゴルフ接待していた軍需商社「山田洋行」元専務の宮崎元伸被告(69)=贈賄罪で起訴=から、すっぽん料理などの宴席接待をうけていました。
また山田洋行が久間氏への口添えを依頼したとされるのが、日米平和・文化交流協会の秋山直紀常勤理事です。秋山氏は今月八日の国会参考人質疑で否定しましたが、米国軍需メーカーの販売代理店契約を維持したい山田洋行側から、約三千万円を受領した疑惑がもたれています。
三菱グループから秋山氏とともに接待を受けていた額賀福志郎財務相、石破茂防衛相らのかかわりは―。「防衛省改革」をいうなら、まず軍事利権をめぐるこうした不透明な資金の流れと、政軍財の癒着構造を徹底的に明らかにすべきです。なのに、首相はまったく触れませんでした。
それどころか、首相が強調したのは、自衛隊が「誇りを持って防衛や国際貢献のための活動が行えるよう、改革する」というもの。一体何のための「改革」なのかと言いたくなります。(阿曽隆)
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