2008年1月21日(月)「しんぶん赤旗」
続くテロ・暴力 イラク
市民犠牲 減らず
国連総長報告
【ワシントン=鎌塚由美】国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は十六日、イラク情勢に関し、安保理に報告書を提出しました。そのなかで潘事務総長は、過去三カ月間の暴力総数は減少しているとしつつも、「無差別および狙いを定めた暴力は依然として一般市民の命を奪い続けている」と指摘しました。
報告書は、安保理決議に基づき三カ月ごとに国連イラク支援派遣団(UNAMI)の活動を報告するもので、今回は昨年十月から十二月の情勢を述べています。
潘事務総長は、治安情勢について、暴力・攻撃の回数は一日平均二百回(七、八月)から「一日約九十回の割合に減少」していると歓迎する一方、ジャーナリストや弁護士などの専門職、少数派グループや女性が「引き続き、種々の犯罪グループによる標的にされている」と指摘しました。
十二月に発生したイラク南部アマラでの連続、自動車爆弾による一般市民へのテロ攻撃に言及し、これらの犯罪者は「政治的目的のために人権や人命を無視したテロを行っている」と強く警告。依然としてテロが大きな問題であるとの認識を示しました。
潘事務総長は、閣僚ポストの空白が解消されないことなどをあげ、「今までのところ、政治的過程は多くの人が希望するほどの前進を示していない」と述べ、この面での前進の必要性を改めて強調しました。
国連の活動については、「イラクの治安情勢はUNAMIの日常活動を引き続き深刻に制限している」とし、人権状況に関しては、民間軍事会社が「自衛だと称して、一般市民や第三者を殺害していると報告がある」と指摘しました。
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