2008年1月23日(水)「しんぶん赤旗」
経済の軸足 国民へ
雇用・社会保障・農業・税金
志位委員長、打開策示す
衆院本会議 代表質問
日本共産党の志位和夫委員長は二十二日、衆院代表質問に立ち、不安と危機にみまわれている国民生活の打開策を雇用、社会保障、農業、税金の四つの角度から提起するとともに、問題の大本にある経済政策の軸足を「大企業から家計・国民に転換」するよう、福田康夫首相に迫りました。
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志位氏は、違法派遣、二重派遣、偽装請負など「無法の巣くつ」となり、人間の尊厳すら踏みにじる派遣労働の異常な実態を生々しく告発。「労働派遣法の抜本的改正に踏み込むべき」と首相に求めました。
ところが、首相は「(派遣の増加は)企業と労働者が多様な働き方を求めていることが背景」などと現実を無視した答弁をしました。
社会保障で志位氏は、年金記録問題、医療制度に対する政府の基本姿勢を追及。なかでも後期高齢者医療制度では、七十五歳という年齢で高齢者を切り離すやり方に「国から棄(す)てられようとしている」と悲痛な叫びがあがっていることを告発し、「制度の実施は今からでも中止すべきだ」と迫りました。
志位氏が二千二百億円にのぼる社会保障費の抑制路線の転換を求めたのに対しても、福田首相は「抑制努力は必要」と従来路線に固執する姿勢を示しました。
さらに志位氏は、十年余で生産者米価を四割近く下落させた政府の政治責任を追及しながら、農産物の価格保障と所得補償、「品目横断対策」中止、無制限な輸入自由化をやめること―を柱とした「三つの政策転換」を提起しました。
志位氏は、税金のあり方で、無駄な道路づくりの「自動装置」となっている道路特定財源を取り上げ、一般財源化を求めるとともに、無駄を加速させている暫定税率や「道路中期計画」の撤回、環境税の導入を提案。また、社会保障財源として消費税を増税する立場を厳しく批判し、「大企業へのゆきすぎた減税をただすことこそ必要だ」とただしました。
福田首相は、消費税を社会保障の「主要財源」とすることも「十分参考になる」と引き上げを示唆しました。
最後に志位氏は、どの問題でも「経済政策の軸足をどこにおくかが、厳しく問われている」と強調。大企業中心の「成長」シナリオは、政府も破たんを認めざるをえなくなったとして、大企業から家計・国民への軸足の転換こそが「貧困と格差を打開し、日本の経済と社会を健全に発展させる道」と強調しました。
温暖化対策 経済界と協定を
日本共産党の志位和夫委員長は二十二日の衆院本会議での代表質問で、「国際社会を先導する」と福田康夫首相が主張する地球温暖化問題について、日本政府の対応を二つの点からただしました。
一つは、EU(欧州連合)が二〇二〇年までに温室効果ガスの30%削減という目標を示していることをふまえ、日本も中期削減目標を正面から掲げるべきだということです。
福田首相は、目標設定については「真剣な議論をおこなっている」と述べただけでした。
もう一つは、京都議定書で日本が、温室効果ガスの6%削減(一九九〇年比)という目標を約束しながら、現状では6・4%も増やしている問題です。
志位氏は、産業界の温室効果ガス削減を日本経団連の「自主行動計画」にまかせてきたことが日本政府の対応の最大の問題だと強調し、「欧州諸国がおこなっているように、経済界に削減を義務づける公的協定を結ぶべきだ」と迫りました。
首相は「自主行動計画」が「効果をあげている」とし、公的協定について「現時点では考えていない」と述べ、産業界に規制をかけられない姿勢をあらわにしました。