2008年1月24日(木)「しんぶん赤旗」

市田書記局長の代表質問

出産できる病院激減6398→3063

医師増に踏み出せ


 地方でも都市でも「お産難民」が急増―。二十三日の代表質問で日本共産党の市田忠義書記局長は、「医療崩壊」ともいえる深刻な医師不足、公立病院の統廃合の実態を浮き彫りにするものでした。

 政府・与党の社会保障切り捨て政策で、医師不足による小児科・産科などの病棟の休止、病院の閉院などの事態が進行しています。出産できる病院・診療所は、二〇〇六年までの五年間で六千三百九十八カ所から三千六十三カ所に激減。救急医療施設も五年間で一割減少し、救急車が患者の搬送先を見つけられず、死亡にいたる事件が続発しています。

 「医療崩壊」の根本原因は、「医療費抑制のために医学部定員の削減を行い、閣議決定までして医師の養成数を減らしてきた政府の失政にある」。こう指摘した市田氏。「閣議決定を見直し、抜本的な医師増員に踏み出すべきだ」と迫りました。

 現在、日本の医療機関で働く医師の数は二十六万人。OECD(経済協力開発機構)加盟三十カ国の平均と比べて十四万人も不足しています。その結果、勤務医には長時間・過密労働が強いられ、疲弊した勤務医のリタイアでさらに医師不足がすすむという悪循環となっているのです。

 ところが政府は「地域や診療科によって医師の偏在があることが原因」という立場です。

 「医師の偏在が原因というなら、一体どこに医師の余っている都道府県があるというのか」

 市田氏の追及に福田首相は答えられませんでした。

 これだけ事態が深刻なのに、政府は逆に、地域医療に不可欠な公立病院の統合・廃止・縮小を大規模に進めようとしています。

 市田氏は、福田首相が道路特定財源を維持する理由の一つに「救急病院への利便性の確保」をあげていることについて痛烈に批判しました。「あちこちで病院の閉鎖を余儀なくさせておいて、道路で病院を結ぼうというほど本末転倒の政策はない」「公立病院や診療科を減らす計画を自治体に押しつけるのをやめ、国と自治体が地域医療を守る責任を果たし、国公立病院が小児科・産科・救急医療を守る先頭にたつよう改めるべきだ」と求めました。

 福田首相は「地域に必要な医師を確保していくことは喫緊の課題と認識している」とのべたものの「国公立病院や民間病院等が適切に役割を分担し連携しながら地域医療を担っていただく」などと、医師の抜本増に踏み込んだ答弁はありませんでした。

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