2008年1月24日(木)「しんぶん赤旗」
インド洋再派兵
燃料補給とは参戦
海自元高級幹部語る
国民は納得していない
政府は、参議院で否決されながら自民、公明両党が衆議院で再可決した新テロ対策特別措置法にもとづき海上自衛隊の護衛艦を二十四日に横須賀から、補給艦を二十五日に佐世保から、それぞれインド洋に向けて出港させます。インド洋での米軍などへの燃料補給活動はアメリカの「報復戦争」への事実上の参戦行為です。海上自衛隊の元高級幹部にインド洋再派兵について、その胸中を聞きました。(聞き手・山本眞直)
海上自衛隊の補給艦、護衛艦を再びインド洋に出動させ、対テロ戦争という名の「報復戦争」を行っている米軍などへの燃料補給というかたちで協力することに、国民は納得をしていない。
アメリカが要求しているからというだけでインド洋に「日の丸」をかかげるというのでは、あまりにも主体性のない行為だ。それではアメリカの属国でしかない。
「ショー・ザ・フラッグ」というが、戦争をしている軍隊に「燃料を補給する」ことは参戦になる。
治安を悪化
小泉首相(当時)が「日米同盟が重要」ということで始めたことだが、当時と今では国際情勢、世界の動きは大きく変化している。「これまでもやってきた」「国際社会が継続を求めている」など、そんなあいまいなことで一度撤退させた自衛隊を再び派兵することは許されない。
アメリカはテロをなくすといってアフガン、イラクで軍事力を行使してきたが、テロをなくすどころか世界に拡散している。アフガンでは人道復興どころか治安を悪化させているだけだ。
だからアメリカの「報復戦争」に参加する国でも戦争への態度を変えてきている。
アフガンのカルザイ政権もテロに加わらないタリバンとの交渉で和平プロセスを進めている。アメリカと戦争を始めたイギリスさえも、アフガンでの軍事作戦一本やりから対話・和解路線に移しつつある。オーストラリアも方向転換を明言している。日本はなぜそうした世界の流れを察知して、自衛隊をインド洋に再派兵することに慎重な態度がとれないのか。“軍”を軽々しく他国や海外に出す国は世界から軽く見られる。むしろ慎重な国ほど尊敬されることを知るべきだ。
補給艦も武器
補給艦だから、というのは理由にならない。燃料がなければ戦争はできないことを考えれば補給艦もれっきとした武器だ。自衛隊を他国のいいなりやなれあいで動かすことはやめてほしい。
憲法は海外での武力行使を禁じている。自衛隊を出さなくても外交で国際貢献は立派にできるはずだ。日本はそれだけの影響力を世界に示すことができると確信している。自衛艦のインド洋再派兵はやめるべきだ。