2008年1月26日(土)「しんぶん赤旗」
「イラクに大量破壊兵器」くり返し発言
米高官のウソ 935回も
【ワシントン=鎌塚由美】ブッシュ政権は、「イラク・フセイン政権の大量破壊兵器(WMD)の保有」などを口実に、二〇〇一年の9・11同時テロ事件からイラク開戦まで強引に突き進みましたが、その「虚偽発言」の数は、ブッシュ大統領と七人の高官をあわせて、総計九百三十五回に上ることが明らかになりました。
調査報告発表
米政府高官らを対象に調査報告を続けている「センター・フォー・パブリック・インテグリティー」(本部ワシントン)が二十三日明らかにしました。事件後二年間の公の演説、メディアへの説明や議会証言などを分析したもので、その回数が明らかにされたのは今回が初めてです。
対象は、ブッシュ大統領、チェイニー副大統領、パウエル国務長官(当時)、ラムズフェルド国防長官(当時)、ウルフォウィッツ国防副長官(当時)、ライス大統領補佐官(国家安全保障問題担当・当時)、フレイシャー・ホワイトハウス報道官(当時)、マクレラン同報道官(同)の八人。これらの高官が、「イラクの大量破壊兵器(WMD)の保有(および取得の試み)」と「イラクとアルカイダの結びつき」を言明したのは、「個別の機会で少なくとも五百三十二回」だといいます。
「虚偽発言」を最も多くしたのは、ブッシュ大統領で二百六十回でした。パウエル国務長官(当時)が二百五十四回と続いています。「イラクのWMD保有」発言に限っては、ブッシュ、パウエルの両氏に続き、ラムズフェルドとフレイシャーの両氏が百九回。ウルフォウィッツ氏(八十五回)、ライス氏(五十六回)、チェイニー氏(四十八回)、マクレラン氏(十四回)でした。
その回数は、ブッシュ大統領が対イラク武力行使容認決議の政府案を議会に提出した〇二年の九月に「激増」。さらに、パウエル氏が国連安保理でイラクのWMD保有は「疑いの余地がない」と発言した月(〇三年二月)がピークで百四十回に達しました。
開戦後、戦争の口実が次々と崩れ、ブッシュ大統領は国民向け演説(〇五年十二月)で、「情報の大半は間違いだと判明した」とし、「大統領としてイラク開戦の決定に責任がある」と一定の釈明を行わざるを得ませんでした。報告は、ブッシュ政権の釈明は「情報の判断ミス」に言及しただけだったと指摘しています。
調査を指揮したチャールズ・ルイス氏は、「その時期にホワイトハウスの内側で正確には何が起こっていたのかの議会の調査さえない」とし、「ブッシュと他の高官たちは、これまでのところ、虚偽の発言を繰り返したことに関する責任への厳しい追及を免れている」と批判しました。
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