2008年1月28日(月)「しんぶん赤旗」
日雇い派遣に労災認定
グッドウィル拒否はね返す
泣き寝入り横行に朗報
「派遣先で負ったけがで泣き寝入りせず、労働基準監督署に訴えたら、労災給付が認められました」。こう喜びを語るのは、日雇い派遣大手のグッドウィル(事業停止中)の労働者の男性です。男性は「私の経験を多くの日雇い派遣労働者に知ってほしい」と話しています。
骨折したのは〇六年二月。全治三―四カ月の大けがでした。けがをしたときは、派遣先の会社に訴えても無視されて終日働かされました。派遣元のグ社に訴えても相手にされませんでした。
このため、けがが治る数カ月間、派遣の仕事ができず、無収入で暮らさざるをえませんでした。その間の治療費約十万円も全額自己負担をしました。
納得できないまま暮らしていましたが、昨年十一月、意を決して、病院で診断書とレントゲン写真(料金約一万円)をとり、地域の労基署に労災給付の申請手続きをしました。そして昨年十二月末、労基署から支給決定の通知はがきが来たのです。
男性によると、支給額は十七万四千円。うち約十万円が医療費分(療養補償給付)で、残りが休業時の賃金分(休業補償給付)だといいます。
男性は労基署への申請手続きで、グ社の支店に寄った際、担当者に労災を認める書類を書くように強く要求しましたが、拒否されていました。
この経過から、男性は、今回の労災決定が、グ社が昨年十二月二十二日に明らかにした東京労働局による処分方針で、態度を改めたものと考えました。
しかし、労基署に問い合わせると、「会社は労災と認めていない」との返事でした。
男性は「労災給付は、派遣先や派遣元が労災の事実を認めなければ、もらえないと思っていたので、今回の決定には驚いている。日雇い派遣の現場では労災が横行し、泣き寝入りしている労働者も多い。私の経験をぜひ役立ててほしい」と話しています。
労災給付は労基署判断
厚生労働省の労災補償部補償課の話 労災給付を認めるかどうかは、あくまで労基署長の権限です。会社が認めるかどうかは必要条件ではありません。会社が認めなくても、労基署が調べて労災と判断すれば、支給します。これは日雇い派遣の場合でも同じです。
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