2008年1月29日(火)「しんぶん赤旗」
論戦ハイライト
天引きの冷酷 1万6千円の年金からも
後期高齢者医療 ―― 高橋議員質問 衆院予算委
「今度はお国のために早く死ねというのか」―。日本共産党の高橋千鶴子議員は二十八日の衆院予算委員会で、政府が四月から実施しようとしている後期高齢者医療制度に対し、国民の声と実態を突き付け、医療を年齢で差別する同制度の異常さを告発しました。
病院追い出し
同制度は、七十五歳以上の人を「後期高齢者」と呼び、他の世代から切り離し、際限のない負担増と差別医療を押しつけようとするものです。
政府は、同制度の導入と並行し、療養病床の削減などによって、病院からの高齢者の追い出しを推進する政策を打ち出しています。
高橋氏が示したのが、青森県保険医協会が行ったアンケート結果(十日)です。「もし、脳血管障害や痴ほうなどによって入院治療し、日常生活が困難になった状態で退院を勧められたとき、どこで生活したいか」という問いに、入院を希望した人は六割に達しています。
高橋氏は、アンケートに寄せられた「家族に負担をかけたくない。畳一枚分で十分です」という切実な声を示し、こうただしました。
高橋 「畳一枚でも」という声にどう応えるか。病院からの無理な追い出しはしないと約束できるか。退院を迫ることはないと言えるか。
舛添要一厚労相 そういう高齢者の声に応えていきたい。そのために全力をあげる。
高橋氏は「今の答えを本当にやるためには、療養病床の削減を見直すべきだ」と求めました。
高橋氏が次にとりあげたのは、「後期高齢者医療制度」によって導入される保険料の年金からの天引きの問題です。
高橋氏は、六十五歳以上の高齢者の六割が年金だけを頼りに生活している実態を指摘(グラフ)。青森で住民から聞いた「月一万六千円しか年金をもらっていない」という切実な声を紹介しながら、追及しました。
高橋 後期高齢者の保険料は、その一万六千円の年金からも天引きするのか。あまりにひどくないか。
舛添厚労相 天引きの対象になる。
沢内村の教訓
さらに舛添厚労相は、六十五歳から七十四歳までの前期高齢者の年金から国保税を天引きする仕組みについて「保険料を払われる方の利便性、徴収の効率性を考えた天引きシステムだ」と開き直りました。
同制度は、保険料を滞納すれば、窓口で医療費の全額を支払わなくてはならない「資格証明書」を出す仕組みになっています。
高橋氏が、病気や障害、低所得といった事情を抱える高齢者に、そのうえ保険証で制裁し、「命を縮めるようなことをするのか」と告発。舛添厚労相は、資格証明書でも「実費(全額)を払っていただくが、保険料の支払いの手続きをすれば、戻ってくる」と当然視しました。高橋氏は「実費が払えるなら、保険料は当然、払っている」と批判しました。
最後に高橋氏は、全国で初めて老人医療費無料化をおこなった岩手県の旧沢内村(現・西和賀町)の経験をあげました。
同村は、一九六〇年に医療費無料化を実施し、老人医療費を全国平均の半分にまで引き下げる貴重な成果をあげています。高橋氏は、昨年の厚生労働白書で老人医療費無料化のとりくみから沢内村をはずし、抗議をうけた事件を指摘。その背景には、“高齢者への医療負担を減らすと、病院にお年寄りが集まって、医療費が増える”という立場があるとして、「いまこそ沢内村の教訓を学ぶべきだ」と求めました。
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