2008年1月29日(火)「しんぶん赤旗」
加算廃止
“高齢者の孤立化招く”
東京「生存権裁判」 原告ら証言
生活保護の老齢加算廃止は違憲、「健康で文化的な最低限度の生活」(憲法二五条)を保障し、人間らしく生きられるよう加算を元に戻せと訴える東京「生存権裁判」がヤマ場を迎えています。第六回口頭弁論が二十八日、東京地裁で開かれ、原告三人と金澤誠一佛教大学教授が証言しました。
原告の男性(75)は、二人暮らしで生活保護費は月十万八千百五十円。「外食はまったくできず、近所のスーパーで食材が半額になるのを待って買い、食費を切り詰めている」「十年間で一度も散髪にいかず、自分で刈っている」「毎月、残金はない」と証言。一人月一万七千九百三十円の老齢加算廃止によって「食費を減らした。親せきは東京以外なので葬儀があっても参加できないと最初からあきらめている。心苦しい」と答えました。
原告の鈴木カズエさん(76)は、「(加算が廃止され)仏壇の生花が造花になった。年三、四回だったパーマを一、二回にした」。原告の八木明さん(81)は、自治会役員としてつき合いが必要なのに「旅行は参加できない。お金がないために“用事がある”といって葬儀の参加を断ることもある」と証言しました。
金澤教授は、一九九五年以降、賃金が低下し生活崩壊が起き、低所得世帯は飲食費を圧縮するだけでなく社会的体裁費を削減していると指摘。この層と比較して生活保護水準を決めるやりかたに限界があるとして、高齢者には他の世代に比べて特別需要(生活保護でいう加算)があり、交際費は二万二千円は必要だと証言しました。
東京「生存権裁判」は二〇〇七年二月に提訴、今年三月に結審の予定。原告は十二人。「生存権裁判」は全国九都道府県十地裁、百二十二人が提訴しています。
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