2008年1月31日(木)「しんぶん赤旗」
ガソリン税「つなぎ法案」
危険な本質明らかに
与党は30日、ガソリン税など暫定税率を3月末の期限切れ後も2カ月間延長する「つなぎ法案」を取り下げました。それに先立つ衆院の財務金融委員会と総務委員会で与党は、いったん審議と採決を強行しました。日本共産党の佐々木憲昭議員と塩川鉄也議員は、各委員会で追及し、法案の危険な本質を明らかにしました。
衆院財務金融委で佐々木議員
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「(委員会での)法案の取り扱い方も、内容も前代未聞のものだ」。佐々木氏は衆院財務金融委員会で、与党が野党を無視して審議を強行した「つなぎ法案」の本質が、十年間にわたって道路特定財源の確保を狙い、国民に増税を押し付けるものだと厳しく批判しました。
佐々木氏の質問が始まったとたん、それまで民主党議員の抗議と与党議員のヤジで騒然としていた議場が静まりかえりました。
佐々木氏は、「経済情勢がどうあろうが、国民生活がどうあろうが、道路の計画は一度たりとも減ったことがない。社会保障のための財政措置はどんどん減ってきた。なぜ道路だけ増えるんだ」と強調。その理由を、道路整備のための財源が「特定財源という形で必ず入ってくるからだ」とずばり指摘しました。
法案提出者の後藤茂之議員(自民党)は「これまで道路の五カ年計画は規模が大きくなっている」と答弁、計画が膨張してきた事実を認めざるをえませんでした。
「つなぎ法案」には、ガソリン税の暫定税率の二カ月延長が盛り込まれています。佐々木氏は「(その実態は結果として暫定税率を)十年間延長するものだ」と厳しく批判しました。
後藤氏は「本体(租税特別措置法改定案)が整えば、暫定的なブリッジ法案はそのまま消える」とのべ、暫定税率を十年間延長する「つなぎ法案」の本質を認めました。
佐々木氏は「国民生活が混乱するというが、そんなことはない。(暫定税率が切れて安くなり)下がったものをまた上げようとするから混乱する」と暫定税率維持を強行しようとする与党の姿勢を糾弾。国民の暮らしをないがしろにし、膨らんだ財源をすべて道路に投入するという仕組みを固定化し、「利権構造を温存するというやり方は認めるわけにはいかない」と批判しました。
衆院総務委で塩川議員
衆院総務委員会で塩川氏はまず、委員会の開催自体が三十日未明に与党理事だけで決められたものだと指摘し、こうした重要法案では公聴会や参考人質疑を行うことが必要だと述べ「きちんとした手続きもなく、なぜ今日ゴリ押ししようとするのか」と与党に迫りました。
「国民生活の混乱回避」と言い訳する与党の法案提出者(自民党・石田真敏議員)に、塩川氏は「混乱を招いているのは与党の方だ」と批判しました。
さらに、与党が一月中の「つなぎ法案」の衆院通過にこだわっているのは、「(参院で法案が成立しない場合)衆院通過から六十日を経た時点で衆院の三分の二の多数で(『つなぎ法案』を)再可決させるシナリオがある」からだと告発。そのうえで、「つなぎ法案」の延長期間が「なぜ二カ月なのか」とただしました。
「十分な審議時間の確保のため」を繰り返す与党に、塩川氏は「『つなぎ法案』が切れる五月末まで六十日間確保し、(本体である)租税特別措置法案に対する参院での採決の有無、法案の可否にかかわらず衆院の三分の二で再可決、成立させる」という第二のシナリオがあると批判しました。
政府はまた、暫定税率の期間を従来の五年から十年に延長しようとしています。塩川氏が「なぜ十年にするのか」とただしたのに、与党は「租税特措法のなかで議論いただきたい」の一点張り。塩川氏は、「なぜまともに答えようとしないのか。審議拒否をしているのはあなたたちだ」と追及しました。
塩川氏は「つなぎ法案」は暫定税率の期限切れを回避し、道路特定財源を確保する法案本体の成立を担保するためのものであり、「道路特定財源の審議そのものを無意味にする」と主張。「歴史上かつてない暴挙であり許されない」と厳しく批判し、法案の撤回を求めました。
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