2008年2月2日(土)「しんぶん赤旗」

続消費税なぜなぜ問答

社会保障の財源を考える(9)

Q 「大資産家」とはどんな人?


 「預金を一千万円持っていますが、私も『資産家』ということになるのでしょうか?」という質問が寄せられています。

 「大資産家への優遇税制を改める」という場合の「大資産家」というのは、どのような人を想定しているのでしょうか。

 退職金をもらったり、老後のために貯蓄したりして、数千万円程度の金融資産を持っている人は少なくありません。これらは「資産」には違いないとしても、とても「大資産家」とはいえません。これらの人に株式の配当や譲渡所得が数十万円程度あったとしても、証券優遇税制の恩恵は数万円にすぎません。

 一方、株式などの金融資産の配当だけで一千万円以上の所得があれば、かなり裕福な暮らしができそうです。また、証券優遇税制の恩恵も数十万円規模になってきます。この程度の層については、「資産家優遇税制の恩恵を受けている」と考えることができそうです。しかし、一千万円の配当を得るためには、5%の高い利回りを前提にしても、二億円以上の金融資産を保有していなければなりません。

 国税庁の統計によれば、株式などの配当所得を申告している人は毎年、三十万人以上います。その中で、一千万円以上の配当所得のある人は一万―二万人程度しかいません。国民全体からみれば、数千人に一人ぐらいです。

 株式の譲渡所得が一千万円以上ある人も、申告納税者では三万人前後です。この場合は、配当と違って、毎年決まって譲渡所得があるわけではありません。数十年も保有していた株式を売って、一生に一度だけ一千万円の譲渡所得を得るような場合も含まれていますから、全部を「大資産家」というわけにはいきません。

 いずれにせよ、改めるべき「大資産家優遇税制」の対象は、せいぜい数万人から十数万人ということになるでしょう。

 同様に、税制上優遇されている「高額所得者」という場合は、所得税の最高税率の引き下げで恩恵を受けた層と考えればいいでしょう。

 一九九九年に最高税率が引き下げられる前は、所得税の最高税率が適用されていたのは、課税所得(各種控除を引いた後の所得)が三千万円超の人でした。これは、給与にすれば年間三千六百万円程度以上です。現在の最高税率が適用されるのは、課税所得が一千八百万円超、給与だと二千三百万円ぐらいです。

 国税庁の統計によれば、民間サラリーマン(役員を含む)で給与が二千五百万円以上の人は、約十一万人となっています。これは、サラリーマン四百人に一人の割合です。ちなみに、資本金十億円以上の大企業の役員の平均報酬(給与+賞与)額は、二〇〇五年度で二千八百万円となっています。(つづく)



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