2008年2月5日(火)「しんぶん赤旗」

イラク大統領評議会

国民和解へ軌道修正

法公布 旧政権党員 公職復帰へ


 【カイロ=松本眞志】イラク大統領評議会(正副大統領三人で構成)は三日、旧フセイン政権与党バース党党員の公職復帰を認める「説明責任・正義法」を公布しました。同法は二〇〇三年に連合国暫定当局(CPA)が定めたバース党員排除法に代わり、一部の幹部を除く一般党員の職場復帰への道を開くもので、一月に国民議会が賛成多数で可決していました。

 カタールの衛星テレビ・アルジャジーラによると、新法は、追放者のうち、旧フセイン政権崩壊後に定年を迎えた三万八千人が、現政権に年金支給を要請できるなど不公平を是正するものとして期待されています。〇七年十一月には、国民議会のイラク国民和解委員会が旧フセイン勢力の囚人の恩赦と指名手配リストの撤廃を発表しています。

 一方、同法の施行について、旧バース党員ですでに職を得た人々が失職する可能性も指摘されています。同評議会は声明で、憲法が定めた審議の十日間の経過後も、評議会内で意見が一致しなかったとし、同法が自動的に成立したと説明しています。

 イラクを占領している米国も、石油法案とあわせて新法成立を急がせてきました。もともとブッシュ米政権は、占領政策を有利にすすめるために、旧フセイン政権を支えてきたイスラム教スンニ派勢力を追放し、シーア派を優遇する政策を採用しました。これは宗派間抗争の要因ともなり治安情勢の悪化を招きました。

 〇七年八月には、スンニ派のイラク合意戦線が政権から離脱し、マリキ政権の国民和解事業に打撃を与えました。ブッシュ米政権の方針の「修正」は、将来の占領継続とこれに基本的に同意しているマリキ政権を支援・強化する狙いがあるものとみられます。



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