2008年2月8日(金)「しんぶん赤旗」
所得低いと室温低い
灯油高騰が高齢者直撃
民医連寒冷地調査
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「三軒に一軒の高齢者世帯が一五度以下の室温で生活している」―。灯油の高騰が、寒冷地に住む高齢者に健康の悪化や社会的孤立などの深刻な影響を与えていることが七日、全日本民主医療機関連合会(民医連)の行った「灯油価格高騰による寒冷地在宅患者への緊急生活影響調査」で明らかになりました。民医連は、国と行政の責任で、寒冷地在宅患者、低所得者の実態を把握し、緊急に援助策を講じることを求めていくとしています。
調査は、六十五歳以上の在宅患者で高齢者のみの世帯を対象に、暖房費節約による生活と健康への影響を把握する目的で行われました。今年一月中旬から二週間にわたり、寒冷地の十二道県で、民医連加盟の医療・介護サービス機関の職員が訪問して聞きとりを行い、三百二十一件を集約しました。
それによると、多くの世帯が暖房器の使用を控えており、一割の世帯が外の気温とほぼ同じ室温での生活を余儀なくされていました。一五度以下の世帯は三割、冷蔵庫並みの五度以下の世帯も3%を占めました。
各地の報告例でも、「室温零下四度のなか暖房はコタツのみ。スッポリ入って必要以外に動かず、日中の日光があたっている時間だけ活動する」(長野県の七十八歳独居女性)、「暖房をつけている時間、場所を減らしている。ヘルパーが訪問するまでストーブをつけず布団にいる。夕方には布団に入る」(青森県の八十歳独居女性)などの実態が報告されました。
また、生活保護世帯の平均室温は一六・五度、住民税非課税世帯は一七・五度、課税世帯では一八・八度となっており、家庭の経済状態が室温の「格差」をもたらしていることも浮きぼりになりました。
記者会見で民医連の長瀬文雄事務局長は「民医連の別の調査では、老齢加算廃止後の生活保護受給者の15%が一日二食以下で暮らし、非課税世帯とともに食事内容が貧しい実態がわかっています。これに加えて灯油高騰が直撃しています」と話しました。
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