2008年2月8日(金)「しんぶん赤旗」
国保交付金算定ミス
過大分は返却求める
政府方針
国から市町村の国民健康保険財政に交付される「特別調整交付金」が厚生労働省の算定ミスで過不足になっていた問題で、同省は七日、不足分を市町村に補てんする「対処方針」を明らかにしました。
方針では、交付不足があった市町村には、二〇〇二―〇五年度分については、三月末に全額を一括で追加交付するとしています。交付不足があったのは結核や精神病医療の費用が一定水準より高い自治体で、〇五年度分でみると三百七十市町村にのぼります。追加交付は約九十三億円になります。
しかし、一九九三―二〇〇一年度分は、五年の時効があるために追加交付は困難とし、〇八年度からの五年間で、特別調整交付金を増額算定することで調整を図るとしています。そのため、未交付分全額が補てんされるとは限りません。
また、過大に交付された市町村については、〇二―〇五年度の四年分の過大交付分を五等分し、五年間で返却を求める方針です。その場合、本来支払われる交付金から過大分を減額して交付するとしています。減額交付は約二十六億円になります。
被爆者の医療費が一定水準よりも多い市町村で、過大交付になっている例が多くなっています。〇五年度では、三十五自治体に交付されています。返却額は、広島県内の市町村で約二十億円、長崎県内の市町村で約五億円にのぼり、住民への影響が心配されます。
地元負担増許されない
赤嶺政賢衆院議員の話 国保の特別調整交付金の算定ミスを十三年間も放置してきたことは重大です。那覇市は、交付不足により国保財政が圧迫され、昨年二月に国保税を約五千円値上げしました。政府はまず責任を認め、市町村に謝罪すべきです。
少なく交付した市町村への補てんは五年という時効に縛られるべきではありません。各市町村が納得するかたちで、問題が起きた一九九三年度の分から全額補てんするのが当然です。
また計算ミスで、調整交付金が多く交付されていた市町村から、その分の返却を求めることは、市町村の国保財政を圧迫し、住民の負担増につながりかねません。絶対に許されません。
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