2008年2月9日(土)「しんぶん赤旗」
輸入食品の安全 水際の体制はどうなの?
〈問い〉 中国製ギョーザによる中毒事件は、輸入食品の安全チェック体制の問題でもあると思います。現状と対策をどうはかるべきだと考えますか。(大阪・一読者)
〈答え〉 重体者を含む10人の有機リン系農薬中毒被害を引き起こした中国産ギョーザ薬物中毒事件は、全国の消費者に衝撃を与えました。現在、原因の究明が日中両政府の協力で進められていますが、その原因の解明には、まだまだ時間がかかる様相です。
被害者や全国の消費者からはいま、なぜあのような危険な加工食品がやすやすと輸入されたのか、水際でチェックできないのかとの声が出されています。
仮に故意に農薬メタミドホスが投入されたとして、食品検疫でその輸入を阻止することはできたのでしょうか。
日本には食品衛生法があり、本来、食品衛生法に適合している食品だけが輸入されるはずです。しかし、適合しているかどうかは、輸入食品を検査しなければ分かりません。
現在、この食品検疫に従事している食品衛生監視員は、334人ですが、輸入食品の輸入件数の急増の中で、検査率は、わずか10%です。結局9割の輸入食品は、無検査で輸入されるのです。
また、現在、すべての食品は、残留農薬基準が設定されており、加工食品もコーデックス基準で定められている加工食品を除けば、一律0・01PPMの残留農薬基準が定められています。当然、その基準の適合を検査すべきですが、厚生労働省は、それを一切してきませんでした。
国が行っている検査は、モニタリング検査で、検査結果が出るまで輸入を止める検疫検査ではなく、輸入流通を止めない検査となっており、仮にこの検査で問題のギョーザを検査したとしても、検査結果が出たときは、そのギョーザは胃袋の中ということになっていたでしょう。結局、現在の輸入食品検査体制では、今回の事件は、防ぎ得なかったといえます。
食料自給率39%で、食料の6割以上を輸入に依存している食料輸入大国として、そのような貧弱な輸入検査体制でいいわけがありません。
日本共産党国会議員団は、2月1日に福田総理大臣に対して、「輸入食品の検査体制を抜本的に強化するために、検査率を現在の10%から50%以上に引き上げること。そしてそれを担保できるように食品衛生監視員を現行の334人から飛躍的に抜本増員すること。そのための増員計画を明らかにすること。政府が行っているモニタリング検査を検査結果が出るまでは、輸入を留め置く、食品検疫にふさわしい行政検査にすること」を申し入れました。(倉)
〔2008・2・9(土)〕