2008年2月11日(月)「しんぶん赤旗」

道路特定財源を固定化

首相の“一般財源偽装”


 道路整備に使途を限定した道路特定財源のあり方が問われるなか、福田康夫首相は「(使途目的を特定しない)一般財源にできることを私の内閣で初めて法律化し、その金額も昨年より増やそうとしている。後退ではなく前進している」(八日の衆院予算委員会)と述べています。あたかも一般財源化にとりくむような姿勢をみせつつ、今後十年間も道路特定財源の維持を図ろうとしているのです。

 福田内閣は今国会に、ガソリン税などの暫定税率を十年間延長する法案とあわせ、その税収を道路整備費にあてることを原則にする道路整備費財源特例法改定案を提出しています。同法案では、税収が道路整備費を上回る場合だけ一般財源に回すとしています。福田首相が「私の内閣で初めて法律化」と胸をはっている中身です。

 しかし、それは道路特定財源制度を固定することはあっても、一般財源化につながるものではありません。

 道路整備費財源特例法改定案は、余った税収を一般財源に回せるとする一方、「道路整備費への未充当相当額については翌年度以降の道路整備費に充当可能なものとして措置」(国土交通省の法案概要)するとしています。

 これに関し額賀福志郎財務相は「一般財源化した分は、計算上、次の(年度の道路)財源の一部になる。真に必要な道路財源として使わせていただく」(五日の参院予算委員会)と答弁しています。同法案には、一般財源化した税収が再び翌年の道路財源になるという“一般財源偽装”のからくりがひそんでいるのです。

 一般財源化の“増額”を強調する福田首相ですが、二〇〇八年度予算案では、道路特定財源の国費分三兆三千三百六十六億円のうち、一般財源化は前年度比約百億円増の千九百二十七億円にすぎません。使途は依然として道路関連に限定され、しかも「一般財源」の名のもとで将来の道路財源づくりも可能となるのですから、本末転倒です。

 「一般財源化」をかさに着て、道路特定財源制度そのものを堅持していく福田内閣の姑息(こそく)な手法は、小泉、安倍両内閣ゆずりです。

 小泉内閣は〇二年度予算で自動車重量税の一部、二千二百四十七億円を道路以外に回し、「改革の成果だ」と宣伝しましたが、その後の補正予算で三千六百億円余の道路整備費を計上したことで帳消しになりました。〇三年度予算では、全額を道路建設目的に逆戻りさせ、高速道路建設にも使えるようにしました。

 安倍内閣は〇六年末、道路整備費以外の道路関係の使途拡大の費用も含まれる「道路歳出」という言葉を用い、「道路歳出を上回る部分の税収に限って一般財源化する」との内容を閣議決定しました。福田内閣の改定案の国会提出はこの安倍内閣の方針を引き継いだものです。

 今日の「車社会」は交通事故、大気汚染をはじめ大きな社会的な負担、コストをもたらしています。自動車に関する税金だからといって道路整備だけに使途を特定する理由はありません。教育、社会保障を含め自由に使えるようにしてこそ前進といえます。(高柳幸雄)



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