2008年2月13日(水)「しんぶん赤旗」
沖縄米兵 中3少女暴行
凶悪犯罪 またも
抗議の声広がる
沖縄県北谷(ちゃたん)町で十日夜、米海兵隊員が中学三年生の女子生徒(14)を暴行する事件が発生しました。日本共産党沖縄県委員会が十二日、沖縄防衛局や外務省沖縄事務所などに抗議の申し入れをしたのをはじめ、県や沖縄市、北谷町なども米軍に謝罪と抜本解決策を申し入れるなど県民の抗議の声が広がっています。沖縄県では一九九五年の少女暴行事件など、米軍人による凶悪犯罪が繰り返されており、県民の間では「米軍基地撤去しかない」との声があがっています。
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十一日未明、県警沖縄署に逮捕され、十二日送検されたのは、タイロン・ルーサー・ハドナット容疑者(38)=在沖海兵隊キャンプ・コートニー所属。十日午後十時三十五分ころ、北谷町の公園近くに止めた車内で女子中学生に乱暴した疑い。
調べによると、同容疑者は、十日夜、沖縄市内で女子中学生に声をかけ、その後バイクなどで連れまわし北中城(きたなかぐすく)村の自宅でわいせつ行為を迫ったうえ、逃げ出した女子中学生を追いかけ、車に乗せ乱暴したもの。女子中学生はいったん逃げ出した際に、友人に電話で助けを求め、心配した友人や家族が沖縄署に通報していました。
沖縄では、一九九五年に米海兵隊員三人が小学生の女児に暴行する事件が発生。日米地位協定の抜本改定や米軍基地の整理・縮小を求める県民あげての抗議行動に発展しました。しかし、政府は地位協定の改定を拒否し、「運用改善」ですませてきた経緯があります。
その後も、米兵による事件・事故は後を絶たず、本土復帰後の七三年以来、沖縄だけで米兵による犯罪は五千数百件にのぼります。また、神奈川県横須賀市での女性強盗殺人事件(〇六年)など、米軍基地のある全国各地で凶悪事件が発生しています。
「基地なければ」
怒りの沖縄
米兵による少女にたいする性犯罪がまたも繰り返されました。沖縄県では、逮捕された米兵に対する怒りと恐怖が広がりました。「基地がなければ」。これが米軍基地のなかに島がある沖縄の人たちの声です。
女子中学生が米兵から声をかけられた現場は、米軍嘉手納基地の第二ゲートから五百メートルほどにある飲食店や花屋、雑貨屋などが入る商業施設。当日は、施設中央の広場で、ファッションショーが開かれていたといいます。道路を挟んですぐの場所には沖縄警察署があり、週末などになると多くの米兵が街に繰り出すといいます。
沖縄市内で二十年以上、薬局を営む男性は「またかという感じ。基地がある限り事件があるのか」と憤ります。
被害者が声を掛けられた現場近くにあるバーに勤める女性(25)は「女性として怖い。十三年前(米海兵隊員の女児拉致・暴行事件)のこともあるし、厳しく処分してほしい」と訴えました。
基地の縮小・撤去こそ
市田氏会見
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日本共産党の市田忠義書記局長は十二日、国会内で記者会見し、沖縄県北谷町で発生した米兵による女子中学生暴行事件について、「いたいけな少女にたいする破廉恥きわまりない暴行事件であり、激しい憤りを覚える」「本人と家族のみなさんに、こころからのお見舞いを申し上げる」とのべ、法にもとづく厳しい処罰と、再発防止のための厳正な措置を関係当局に強く求めました。
市田氏は、今回の事態に対する「沖縄の人々の怒りはきわめて大きい」と指摘。県民から「基地がある限り事件が起きる」「米軍の無法に泣き寝入りしてはならない」との声があがっていることを示し、日本政府には県民の悲痛な叫びに真摯(しんし)にこたえる責務があるとのべました。
さらに市田氏は、全国における米兵による凶悪犯罪が、最近だけでも神奈川県横須賀市での女性強盗殺人事件(〇六年一月)、佐世保市での女性殺人未遂事件(同十月)、広島市での岩国基地所属隊員による女性暴行事件(〇七年十月)など頻発しており、「まさに、『米軍基地あるところ、凶悪犯罪あり』ともいうべき状況だ」と告発。米軍基地の縮小・撤去と日米地位協定の抜本的な見直しなくして、米兵犯罪が相次ぐ事態を解決することはできないと強調しました。
今回の事件をめぐる日本政府の対応について市田氏は、閣僚が「いかに日米関係への悪い影響を少なくできるか」(高村正彦外相)などと発言したことを示し、「日本国民の人権、生命、安全よりも、日米関係への影響を憂慮するとは、いったいどこの国の政府かと問いたい」と厳しく批判しました。
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