2008年2月13日(水)「しんぶん赤旗」
論戦ハイライト
なぜ特定財源に固執
高速道建設の“自動装置”
衆院予算委 穀田議員の追及
「なぜ、道路だけ特別扱いし、特定財源にこだわるのか」―。日本共産党の穀田恵二議員は十二日の衆院予算委員会で、福田康夫首相が固執する道路特定財源の問題点を根本からただし、一般財源化を強く求めました。
穀田 道路以外の公共事業は総額を先に決めるやり方はやめたのに、なぜ道路だけ特別扱いなのか。
福田首相 道路の受益者である自動車ユーザーに負担をお願いすることで、真に必要な道路整備をおこなう。
道路特定財源は、ガソリン税などの自動車関連の税金を道路整備だけに使う仕組みです。しかし、「財政の硬直化を招く」など道路特定財源のあり方に対する国民的な批判の中で、小泉政権、安倍政権は一般財源化をいわざるを得なくなりました。
二〇〇六年の経済財政諮問会議は、すでに国民の80%の世帯が車を持っているとして、「『受益者』『納税者』は国民全体だ」と議論したうえで、安倍前首相が「道路特定財源として自動的に道路ができていくという仕組み自体は変えていかなければならない」とまで言って一般財源化を決定しています。穀田氏はこの事実を指摘し、「政府が持ち出す議論は、すでに決着済みだ」と、福田首相の姿勢を厳しく批判しました。
さらに7千キロ
その上で穀田氏は、政府が道路特定財源によって推進しようとしている「道路の中期計画(素案)」の中身も、これまでの議論をまったく無視した計画であることを明らかにしました。
「中期計画」では、高速道路などの「高規格幹線道路」を全国に一万四千キロ張り巡らす計画が盛り込まれています。しかし、このうち九千三百四十二キロを超える路線については、小泉元首相が「白紙」と言明したもの。「なぜ、これを復活したのか」との穀田氏の追及に福田首相は明確に答えることができませんでした。
穀田氏は、さらに「中期計画」が一万四千キロを上回る高速道路の整備計画まで盛り込んでいることを指摘しました。
穀田 「地域高規格道路」というのが「中期計画」に盛り込まれている。この計画は何か。
宮田年耕国交省道路局長 基幹ネットワークとして(高速道路を)補完するもの。計画路線は百八十六路線、六千九百五十キロだ。
「地域高規格道路」と「高規格幹線道路」をあわせると、高速道路の総距離は約二万一千キロになるというとんでもない計画です。穀田氏は、この「地域高規格道路」には百八十六の「計画路線」に加え、紀伊淡路連絡道路、東京湾口道路などの六つの長大橋道路計画を含む百十の「候補路線」まであることを指摘。道路財源が高速道路を際限なくつくりつづける“自動装置”となっていることを明らかにしました。
“夢のある話”
穀田 こういう膨大な高速道路を今後もつくり続けるつもりか。
首相 夢のある話。本当にニーズが生じるなら、そのときに判断する。
穀田 夢だとかいうが、閣議決定しようとしている。
“総額先にありき”で、際限なくすすむ高速道路建設を否定できない福田首相。穀田氏は、住民にとって、本当に必要な道路の維持・修繕予算は削られ、住民の身近で緊急な道路整備予算が組めない現状を示し、「国が高速道路の建設を優先するから、地方は困っている」と政府の態度を厳しく批判しました。
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