2008年2月15日(金)「しんぶん赤旗」

論戦ハイライト

温暖化防止 削減目標

企業との協定迫られ 環境相「考慮」

衆院予算委 笠井議員


 「地球温暖化対策は、文字通り全地球と人類、生物の生存と未来をかけた重大課題だ」―。日本共産党の笠井亮議員は十三日の衆院予算委員会で、地球温暖化防止の京都議定書が定めた温室効果ガスの削減目標の達成を政府に具体的に迫りました。


 笠井 京都議定書で約束した当面の目標自体を日本が期限内に達成できるか。

 鴨下一郎環境相 今年度中に目標達成計画を改定し、必要に応じて新しい規制的な手法も考えていかなければならない。

 一九九七年採択の京都議定書で、日本は二〇一二年までに一九九〇年比6%の温室効果ガスの削減を公約しています。しかし、日本の温室効果ガスの排出量は、減少するどころか逆に6・4%も増加しています。(〇六年)

国内対策に力を

 政府はこれまで、その対応策として、国内対策などによっても目標が未達成な部分は、一億トン分のCO2排出枠を他国から買い取る「京都メカニズム」などでまかなう考えを示してきました。

 笠井氏は、「京都メカニズム」で海外から排出権を買い取ることになれば、財政負担は二千二百億円から一・二兆円にもなることを指摘。政府の姿勢をただしました。

 笠井 国内対策により確実に6%削減を達成する必要がある。

 環境相 国内対策が大前提。「京都メカニズム」の活用(排出権取引)はあくまで補完的だ。

 笠井氏の追及で鴨下環境相は、国内対策に力を入れる考えを改めて示しました。

 では、その国内対策で有効な手だてが講じられてきたでしょうか―。笠井氏は「主要排出源の削減を実効あるものにするかがカギだ」と述べ、日本のCO2排出量の八割を占め、それを増加させている企業・公共部門にメスを入れるよう厳しく迫りました。

 政府は、家庭部門の増加を喧伝(けんでん)していますが、自家用車、一般廃棄物を含め家庭からの排出は二割しかありません。

電力分野の必要

 笠井氏は企業・公共部門のうち、発電所や鉄鋼などの直接排出が全体に占める割合が大きく、石炭火力によるCO2排出量は九〇年と〇五年を比較すると三倍にも増加している実態を指摘しました。

 笠井 技術革新などは開発途上の問題。削減目標期限は、もう目の前だ。電力分野でのCO2削減の意思があるのかないのか。

 環境相 電力需要は増大しているが、温暖化対策では電力の(排出量の)削減は極めて重要なことだ。

 笠井氏の追及で、電力分野の排出削減の必要性を認めた鴨下環境相。笠井氏は、削減目標達成の道筋をつけるため、日本経団連の「自主行動計画」まかせでなく、政府が経済界と公的な削減協定を締結するなど実効ある措置をとるよう迫りました。

 笠井 今後、公的協定を含めて、今やっていないような国内排出量取引、環境税など、なんらかの措置をとることを考えるのか。

 環境相 (公的)協定化は必要なら、考慮しなければならない。

 甘利明経産相は「電力業界には供給義務がある」などとして、産業界の「自主行動計画」依存に固執する姿勢を示しました。しかし、笠井氏の追及に、鴨下環境相は、公的協定の締結の可能性に言及しました。今後の削減目標の実行についても、「詳細に進捗(しんちょく)管理をして、最終的に(削減目標に対して)足らなければ、早め早めに次の手をうっていく」と述べました。



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