2008年2月17日(日)「しんぶん赤旗」
「米兵犯罪 基地ゆえ」
女性強殺事件裁判支援集会 遺族ら訴え
神奈川
「沖縄の中三の少女が暴行を受けた事件、悔しいです。女房の死と重なります。裁判に勝ち、日本政府や米軍の責任を明らかにしたい」
二〇〇六年一月、米空母キティホーク乗組員に女性が殺害され現金を奪われた事件。夫の山崎正則さん(60)=神奈川県横須賀市在住=は十六日、横浜市の神商連会館で開かれた「米軍の犯罪を糾弾し、『山崎裁判』勝利をめざすつどい」で、米兵犯罪を強く批判しました。
山崎さんを支援する会と「在日米軍による犯罪・事故の被害者の会(略称・米軍被害者の会)」が主催。つどいには約百四十人が参加。元米海兵隊員のアレン・ネルソンさんが、「なぜ、『米兵』は人を殺せる心を持つのか」をテーマに講演しました。ネルソンさんは、人を殺すことを徹底的にたたき込まれた米軍内の教育と、ベトナムでの戦場の真実を詳しく語りました。
米兵犯罪が繰り返されているのに、米軍と日本国が、米兵が公務外であることから個人の責任としている現状に対し、弁護団事務局長の高橋宏弁護士は、「それは違う。はっきり国に責任があると法的に認めてもらうのが裁判のポイントです」と山崎さんの裁判闘争の意義を強調しました。
被害者の会代表の椎葉寅生さんは、「被害者が語る内容はそれぞれ違いますが、共通しているのは基地があるかぎり起こる、基地があるゆえの犯罪、事故だったということです」と訴えました。
米軍犯罪許せません
無念 晴らす
妻殺された山崎さんら語る
神奈川で集い
米兵の犯罪による被害を受けた神奈川県に住む三氏が、十六日開かれた「米軍の犯罪を糾弾し、『山崎裁判』勝利をめざすつどい」で、「殺されたことは無念でしかたがない」と体験を語りました。
横須賀市の山崎正則さん(60)は、二〇〇六年一月、出勤途中の妻・好重さんを米兵が金銭を奪う目的で襲い、十数分に及ぶ暴行で殺害した事件の残虐性を語り、米兵と米軍、日本政府の責任を問う損害賠償裁判を「何年かかってもたたかう」と決意をのべました。
タクシー運転手の田畑巌さん(62)は、タクシー料金を払わず乗り逃げしようとする米第七艦隊旗艦ブルーリッジ乗組員を追いかけ、料金を請求したところ、顔面を殴られ、鼻骨陥没一カ月の重傷を負わされました。今月十三日、事件を起こした米兵と日本国を相手取り、損害賠償を求めて、横浜地裁に提訴しました。
「仲間の運転手はけがをするのがいやだから(米兵にただ乗りされ)逃げられたまま。こういうことが数限りなくある」と田畑さんは語りました。
二〇〇六年十一月に神奈川県横須賀基地前の飲食店の外で米軍属に殺された中川勝美さんの妹の近藤好美さんと、その夫の昭夫さんは、「兄が、まるで虫けらのような扱いを受けて、殺されたことは無念でなりません」とメッセージを寄せました。
中川さんは、トラブルに巻き込まれ、店の経営者(軍属)に外に追い出され、押し倒されました。そのことが原因で四日後に、脳挫傷で亡くなりました。
山崎裁判弁護団の高橋宏弁護士は、「中川さんの事件では、加害者は米軍の人事部長です。米兵を管理し教育する立場にある人間が、米軍のゲート向かい側で酒を出す店を経営している。これで米兵の管理・監督ができるのか、ということが問題になります」と事件の重大性を指摘しました。
保団連・平和遺族会が抗議
沖縄県北谷町で、米海兵隊員に中学三年生の少女が暴行された事件で、全国保険医団体連合会(保団連)は十五日、「日本政府は米国に対し断固とした対応を」とるよう、福田康夫首相に要請しました。
二度とこのような事件を起こさないためにも、「米軍基地の縮小・撤去、米兵犯罪防止の実効性ある対策などを行うこと」を求めています。
また、平和を願い戦争に反対する戦没者遺族の会(平和遺族会)も十三日、米ブッシュ大統領あてに抗議・要請しました。
「直ちに基地を撤去して、アメリカ兵を本国に引きあげること、引きあげが終了するまで、兵隊を基地の外には絶対出さないこと」を求めています。
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