2008年2月17日(日)「しんぶん赤旗」

主張

派遣法研究会

政治の責任で抜本的な改正を


 労働者派遣法の見直しにむけた厚生労働省の研究会(「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会」)が検討を始めました。非人間的な日雇い派遣や違法派遣の横行など、派遣制度の検討に、行政としても乗り出さざるを得なくなったものです。

 相次ぐ規制緩和の結果、現行の労働者派遣法は、まじめに働いてもまともな生活ができない「ワーキングプア」を生み、貧困と格差を広げて、重大な社会問題の原因となっています。研究会の結論を待つまでもなく、派遣法を見直し、派遣労働者を保護する法律に抜本改正することは、政治にとって最優先の課題です。

企業でなく労働者保護を

 派遣法の抜本改正が必要なことは、派遣労働者の切実な訴えだけでなく、この間の国会質問や政府の答弁でも、明らかになっています。

 とりわけ日本共産党の志位和夫委員長が八日の衆院予算委員会で、労働者をモノのように使い捨てる「日雇い」派遣の実態や、派遣労働を常用労働の代替にはしないという政府の約束に反してキヤノンなどの名だたる大企業が常用労働者を減らし派遣や請負を増やしている動かぬ実態を突きつけて政府に迫ったのにたいし、福田康夫首相も、「日雇い派遣という形は決して好ましいものではない」「(派遣は)臨時的・一時的な制度として位置づけている」などと答えざるを得ませんでした。

 福田首相の答弁が真実なら、政府は少なくとも日雇い派遣の禁止だけでも、ただちに踏み出すべきです。

 とりわけ重大なのは、志位氏が派遣など非正規雇用を拡大していては長期的に日本経済は持続拡大できないというILO(国際労働機関)の指摘を取り上げ、「こんな社会にしてしまっていいのか」と迫ったのに対し、福田首相が、「決して好ましいものではない」と言明したことです。首相も認めるような異常な状態を放置しつづけることは許されません。派遣法の抜本改正は文字通り待ったなしの政治の責任です。

 志位委員長の質問の後、日本共産党の本部には、「よく取り上げてくれた」「(志位委員長の)質問を見て、一筋の光が見えた」などの共感の電話やメール、手紙などが相次いで寄せられています。こうした切実な声にこたえるためにも、労働者派遣法の抜本改正を急ぐべきです。

 いまや派遣労働者は全国で三百二十一万人に達しています。働く者の三人に一人が派遣など非正規で占められ、青年や女性は働く人の二人に一人が非正規という異常きわまる実態です。派遣会社に登録し、仕事のあるときだけ雇用されるという「登録型派遣」「日雇い派遣」の労働者だけでも二百三十四万人に及びます。若者をはじめ、多くの働く人たちが人間らしく働ける場を保障するために、派遣法を抜本改正し、派遣や請負、パートなど非正規の労働者を減らして正規労働を拡大していくことは、緊急の課題です。

経済と社会の発展に急務

 日本共産党はすでに、「労働者派遣に新しいルールを確立し、派遣労働者の正社員化と均等待遇を実現します」という労働者派遣法の改正要求を発表しています。(昨年十二月)

 今度の国会では日本共産党だけでなく各党も派遣法改正問題を取り上げており、派遣法改正は大きな国民世論となってきました。

 派遣法の改正は日本の経済や将来にとっても欠かすことができません。研究会に丸投げせず、派遣法の抜本的改正に一刻も早く踏みだすべきです。それこそ政治の責任です。



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