2008年2月27日(水)「しんぶん赤旗」
保険証取り上げられ 資格証交付
お金がなく病院我慢
受診率 一般被保険者の51分の1
国民健康保険の保険証を取り上げられ資格証明書(資格証)を交付された人の受診率は、一般被保険者の五十一分の一までに低下した―。全国保険医団体連合会(保団連、住江憲勇会長)が公表した二〇〇六年度の国保資格証被交付者の受診率全国調査結果で、深刻な受診抑制が進行している実態が明らかになりました。
保団連調査
受診率は、百人当たりの医療機関への年間受診回数を示す数字です。
調査結果によると、〇六年度の資格証被交付者の受診率は、全国平均で14・99。これは、同年度の一般被保険者の774・712の五十一分の一になります。また、〇六年度の資格証被交付者の受診率は〇五年度と比較して1・12ポイント低下しています。逆に一般被保険者は31・58ポイント上昇しています。
資格証の場合、受診した医療機関の窓口で、医療費の十割という多額の現金を支払わなければなりません。調査結果は、資格証被交付者が、お金がないために医者にかかるのを極端にがまんしていることを示しています。
保団連は調査結果を受け、舛添要一厚生労働相に要望書を提出。その中で、保険料滞納の基本的要因について、保険料が高すぎるため「払いたくても払いきれない」ことにあると強調。
その上で(1)厚労省として資格証被交付者の受診率や健康状態の調査をすること(2)国保の保険料(平均8・47%)を少なくとも政府管掌健保(同4・1%)や健保組合(同3・27%)なみに引き下げること(3)資格証交付制度をただちに廃止すること―などを求めています。
国保の資格証明書 国保の保険料を一年以上滞納した人から保険証を取り上げ、代わりに交付されるもの。医療機関に受診すると、いったん医療費の全額(十割)を窓口で支払わなければなりません。その後、請求すれば数カ月後に医療費の七割が戻ってくる仕組み。一九九七年に自民・社民・旧民主の各党などの賛成で成立した国民健康保険法改悪により、その交付が義務化され、二〇〇〇年から実施されました。日本共産党は同法改悪に反対し、〇七年三月には「無慈悲な国民健康保険証のとりあげをやめ、高すぎる国保料(税)の引き下げを」と題する緊急提言を発表しています。
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