2008年2月28日(木)「しんぶん赤旗」
実態次々と 派遣法改正求め集会
登録型 “バットで殴られた”
市が出資し派遣会社 自治体
突然の雇い止め自由
幅広い労組や政党代表が参加して二十七日、国会内で開かれた「労働者派遣法の抜本改正を求める院内集会」(全労連主催)。一刻も放置できない派遣労働の生々しい実態が次々と告発され、今国会で抜本改正を求める声が相次ぎました。
「薬品工場でやけどしたが病院に行けともいわれなかった。仕事ができないといわれ、金属バットで殴られた。派遣会社に報告したが、守ってくれなかった」
登録型派遣で働く大阪府の男性がこんな深刻な実態を話すと、驚きの声があがりました。
四十キロもの材料を扱う過酷な労働でも時給はわずか八百五十円。「正社員になりたい。でも、月末に賃金がもらえるまでの収入の保障がほしい」と訴えました。
日雇い派遣の職場を四つも体験した女性は、「月に十日しか仕事がなく苦しい。どこに向かって生活しているかも分からない」と不安でたまらない気持ちを訴えました。労組などの支援で生活保護を申請してやっと暮らせるようになったとのべ、「労組が働く人が自信を取り戻す場になってほしい」と語りました。
「京都府京丹後市が100%出資して派遣会社をつくり、臨時職員を転籍させている」と紹介したのは自治労連の代表。
東京都葛飾区では非正規労働者が職員の44%に上るなど、自治体の非正規雇用が増大。時給が七百―八百円と民間のパート労働者より低く、雇い止めも自由に行われていると批判しました。
都高教の組合員の女性は、学校法人に派遣職員として二年十一カ月勤務したのち、嘱託職員として直接雇用されてから三年後に雇い止めされたと告発。「派遣法の直接雇用申し込み義務は、期間の定めのない雇用でなければならないと明記すべきだ」とのべました。
食品加工会社の派遣社員だった埼玉ユニオンの組合員の男性は、派遣期間上限の三年が過ぎ、時給を下げてパート採用するという会社の提案に対し、時給を下げない採用を要望したため、解雇されました。「派遣元と派遣先から二重の解雇を受けた。派遣先に直接雇用を求めて労働審判に訴えてたたかっている」
JMIU徳島地域支部日亜化学分会の島本誠分会長は、偽装請負を告発し、日亜化学に正社員化を求めるたたかいを報告。会社が直接雇用の約束をほごにしたあと、分会員六人が日亜化学の派遣会社で清掃の仕事をしながら県労働委員会に救済を申し立てたたかっており、「必ず正社員になり、安心して働きたい」とのべました。
出版労連の代表は、教科書出版社で派遣社員として編集業務していた女性を二年で会社が雇い止めした事件で、労働委員会に申し立てるなど職場復帰を求めてたたかっているとのべました。
脇田滋龍谷大教授が派遣法の抜本改正の課題について報告。直接雇用を大原則とし、日雇いでなく常用型を基本とすること、正社員との均等待遇、適正な賃金や社会保険の加入など公正な労働条件の確保などが重要だとのべました。
全労連の井筒百子政策局長が、派遣労働者を守る法律にすることや、雇用の安定、正社員化などを定める全労連の派遣法改正案を説明し、当面の行動について提起。「初めて派遣法改正の展望が開ける情勢が生まれており、幅広い共同で改正を実現しよう」とよびかけました。
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