2008年2月28日(木)「しんぶん赤旗」
ベトナム戦争とはどんな戦争だったの?
〈問い〉 ネットのホームページに「ベトナム戦争とは、1960年代初頭から1975年4月30日までベトナムの地で繰り広げられた、南ベトナムと北ベトナムとの武力衝突をいいます。しかし、戦争の実体は南ベトナムを支援したアメリカと北ベトナムを支援したソ連、中国との政治戦略的な戦争といえます」という記述があります。これは本当なのでしょうか?(高知・一読者)
〈答え〉 ご質問のベトナム戦争とは、米国が、1954年のジュネーブ協定で取り決められたベトナム南北統一の実現を妨害して、南ベトナムに干渉し、かいらい政権(米政府の意のままになる政府)を樹立して、解放勢力を掃討し北ベトナム政府を屈服させるために南北ベトナムで進めた侵略戦争を言います。米国の介入・侵略とたたかったベトナム国民はこの戦争を「抗米救国戦争」と呼びます。
当時、アイゼンハワー米大統領は、北ベトナムに社会主義をめざす政権ができたため、この影響で東南アジア各国の政権がドミノ倒しになるという「ドミノ理論」を唱えて、フランスのベトナム侵略戦争(1945〜54年)を支援して介入を開始しました。フランスが敗退した後には、歴代米政府は、米軍顧問団を派遣し、次いで最高時には50万にのぼる米軍部隊を派遣し、同盟諸国の軍隊も動員して侵略戦争を遂行。さらに64年からは北ベトナムに公然と砲爆撃を加えました。
ベトナム戦争は第二次大戦後、最大、最長の戦争となり、あらゆる近代的な残虐兵器が使用されました。この戦争でベトナム人約3百万人が死亡し、米軍の死者も6万人近くになりました。猛毒ダイオキシンを含む枯れ葉剤の大量散布による被害は二世、三世まで及び、その被害者は数百万人にのぼるといわれます。
南ベトナムでは米=サイゴン政権の支配に反対する広範な国民が解放勢力を支持、北ベトナムが南の解放闘争を全力をあげて支援しました。73年1月に、ベトナムの民族自決権を認め、米軍撤退を取り決めたパリ協定が締結されて米軍が撤退。75年4月30日には米国が全面的に支援したサイゴン政権も崩壊して戦争が終了。ベトナムは完全独立を達成しました。
ソ連や中国がベトナム解放闘争を支援したことから、この戦争を米国とソ連、中国との戦争とする見方は、誤った見方です。ベトナム国民は米国の侵略に反対し、日本国民を含む世界各国の支援を受けながら、解放戦争を遂行し、米国の企図を打ち砕いたのです。(鈴)
〔2008・2・28(木)〕