2008年2月29日(金)「しんぶん赤旗」
薬害肝炎
和解後初 66人提訴
原告 “長年のたたかいに感謝”
C型肝炎ウイルスに汚染された血液製剤「フィブリノゲン」などの製剤を投与されて肝炎になった被害者が二十八日、仙台、東京、大阪、名古屋、福岡の各地方裁判所で国などに総額四十四億六千六百万円の損害賠償を求めて提訴しました。
薬害C型肝炎をめぐっては、一月十五日に全国原告団・弁護団と国が基本合意書に調印。和解が成立していました。
和解成立後初の提訴では、東京三十人、仙台二人、名古屋八人、大阪五人、福岡二十一人の全国で計六十六人(女性四十九人、男性十七人)が原告となりました。
一月に基本合意した和解内容にもとづき、和解後にあらたに損害賠償を求める被害者は、一度提訴して損害賠償(千二百万―四千万円)を受けることになっています。
東京地裁に提訴した糸川清さん(75)=東京都小金井市在住=は記者会見して「和解が成立した後に病院が本当のことを知らせてくれて(薬害で)感染したことが分かりました。これまで長年裁判をたたかってきた原告団の苦労に感謝します」と語りました。
糸川さんは心臓のバイパス手術をした際に「フィブリン糊(のり)」製剤を使用されて感染しました。
匿名で提訴した原告番号六十六番の女性は、出産のときにフィブリノゲン製剤を投与されて感染しました。出産と同時に急性肝炎になって二カ月間入院。「子どもと切り離された時の寂しさはいまでも思い出します。子どもは『自分が生まれなかったならば母さんは病気にならなかった』と責めてきました。和解を知ってようやく子どもの気持ちも解けてきました」と心境を語り「厚生労働省は国民の視点に立って薬務行政を行ってほしい」と訴えました。
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