2008年3月1日(土)「しんぶん赤旗」
教員解雇取り消し
「指導力不足」認めず
京都地裁判決 分限免職に歯止め
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一年間の試用期間中に「指導力不足」などとして分限免職(解雇)処分を受けた京都市立小学校の元教諭(34)が同市を相手取って処分取り消しを求めていた訴訟で二十八日、京都地裁は処分を取り消す判決をだしました。
原告側弁護団によれば、指導力不足を理由に、本人の意思に反して解雇する分限免職が違法とされたのは初めてです。
元教諭は二〇〇四年四月に期間一年の条件採用となりました。京都市教育委員会は校長らの元教諭への評価をもとに、「学級崩壊」を招き、勤務実績不良で教員としての適格性を欠いているとし、〇五年三月末で分限免職しました。
中村隆次裁判長は、市教委があげた処分の根拠のうち、「運動会後の欠勤は飲酒によるもの」「授業参観の際、打ち合わせに反した授業をした」など二十二項目については事実を確認できないか、また事実であっても教員としての「評価に影響しない」と認定しました。
「学級崩壊」が生じたことなどについて管理職と教員との関係や、学級に指導の難しい児童が複数いたことなどをあげ、元教諭が「単独では建て直しを行うことができなかったことをもって、ただちに能力が欠如していると判断させるべきではない」としました。
元教諭が新任教員で、「学校における新任教員への支援体制が必ずしも十分ではなかったこと」や、元教諭が保護者や児童の信頼を失ったのには児童の前で必要以上の指導をするなどの管理職の対応にも一因があったと指摘。教員として職務内容を遂行することができなかったとまでいえないとしました。
さらに「管理職等の原告に対する評価が客観的に合理性を有するものか否かが疑わしい」とのべ、処分は「裁量権の行使を誤った違法がある」としました。
分限免職 国家公務員法、地方公務員法の規定に基づいて、職務遂行に支障をきたし、適格性を欠くとされた公務員などを任命者の権限で免職すること。民間企業の解雇に当たります。
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