2008年3月2日(日)「しんぶん赤旗」
イージス艦衝突
海自ヘリ 「捜索」より聴取優先
救助後回し幹部移送
イージス艦衝突事故が発生した二月十九日、海上自衛隊は行方不明者の「捜索」に四機のヘリコプターであたったとしていましたが、実際には「あたご」航海長の移送などに多くの時間を割いていたことがわかりました。救助後回しで防衛省内の事情聴取を優先していたことが浮き彫りになりました。
防衛省は事故発生から八時間ほどたった当日零時半に「ヘリ四機で捜索中」と発表。海自館山航空基地や同厚木航空基地、護衛艦の「いかづち」「はるさめ」搭載のヘリが四機態勢で現場海域で捜索にあたっているとされていました。しかし、事故直後の午前七時半、全国の護衛艦隊を統括する護衛艦隊幕僚長を「あたご」に運ぶために、一機が捜索から離脱。横須賀地方総監部へ向かい、幕僚長を同艦まで移送しました。
別の一機も「あたご」の航海長が幕僚幹部や石破防衛相からの聴取を受けるため、捜索を離脱。このヘリは九時すぎに航海長を東京都内の防衛省に送り、午後四時半ころに横須賀地方総監部に送り届けました。航海長が聴取されていた時間に捜索に戻ったものの、多くの時間を航海長の移送に費やしていました。
もう一機も「あたご」の負傷者移送のために同艦と横須賀地方総監部間を行き来しました。厚木航空基地所属のヘリは幹部の移送などに加わらなかったものの、午前十時には捜索活動からはやばやと離脱し、所属する基地へ帰還しています。
事故発生日(2月19日)に救助活動に参加した自衛隊ヘリの動き
午前
4:07 事故発生。
7:00ごろ ヘリ4機で捜索中。
7:30ごろ 「はるさめ」搭載ヘリ(1)が横須賀地方総監部へ出発。
8:02 (1)が護衛艦隊幕僚長を乗せ、横須賀地方総監部を出発。
8:32 (1)が「あたご」到着。
9:10 「いかづち」搭載ヘリ(2)が航海長を乗せ発艦。同乗者なし。
9:27 館山基地からのヘリ(3)が負傷者を乗せ、「あたご」発艦。
9:55 航海長が東京・市谷の防衛省に到着。
10:00 「あたご」の負傷者を乗せたヘリ(3)が横須賀地方総監部に到着。同じころ、海自厚木航空基地所属ヘリ(4)が捜索を終え、同基地へ帰る。
11:30ごろ (2)が捜索に戻る。
午後
2:34 (2)が航海長を乗せ、防衛省を出発。
3:01 「あたご」航海長を乗せたヘリ(2)が海自館山航空基地に到着。
3:55 (2)が航海長を乗せ、館山基地発。
4:28 (2)が横須賀地方総監部に到着。航海長を降ろし、「あたご」へ。
※防衛省はこの日の捜索態勢を「ヘリ4機(夜間は2機)」と発表。(数字)でヘリを区別しました。
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