2008年3月4日(火)「しんぶん赤旗」

憲法審査会始動ねらう

議員同盟 きょう総会

民主幹部が新役員に


 自民、民主、国民新各党と無所属の改憲派議員らでつくる新憲法制定議員同盟(会長・中曽根康弘元首相)は四日に総会を開きます。新たに民主党から鳩山由紀夫幹事長、前原誠司副代表ら幹部の参加を得て新役員体制を発足させる見通しです。

 同議員同盟は一月の臨時国会閉会時に、衆参両院議長に対し三百人をこえる衆参両院議員の賛同署名を添えて改憲原案の調査権限を持つ憲法審査会の早期始動を申し入れ、明文改憲論議の促進へ働きかけを強めています。

 昨年五月に与党が強行した改憲手続き法に基づき同年八月には衆参両院に憲法審査会が設置されました。しかし、参院選での与野党逆転の結果を受け、審査会の組織と運営のルールを定める審査会規程の議決に野党が反対する中で、いまだに始動できていません。

「二大政党」で

 その中での同議員同盟新役員体制への民主党幹部の参加。これは、自民・民主「二大政党」による改憲にむけた共同が、安倍前内閣の強硬な改憲姿勢のもとで破たんしたのを修復し、憲法審査会の早期始動につなげる狙いがあります。

 民主党憲法調査会幹部の一人は、「総選挙を前にいま自民党と改憲で握手するのは難しいが、安倍内閣のもとでの強硬なやり方への一定の総括がなされるなら、憲法審査会を動かしていくことそのものには反対ではない」と話します。

 また、四日の議員同盟総会では安倍晋三前首相が新役員に就任する予定です。侵略戦争の正当化、天皇中心の復古的改憲を主張する「靖国」派による影響力“回復”を目指す動きとみられています。

 同議員同盟は昨年四月、旧自主憲法期成議員同盟を改称し改憲保守派を集めて結成されました。結成時の活動方針では「護憲派の運動(例えば九条の会)が盛んになっているので、ぜひ当議員同盟が中心になって、これに対抗する運動を強力に展開していくべきである」と強調。「九条の会」をはじめ草の根の護憲の取り組みに“対抗”し、改憲促進の国民運動の「中軸」となることを目指してきました。

教育で“普及”

 自民党憲法審議会は、「当面、衆参の憲法審査会の始動の見通しは立たない」(同幹部)という中で、改憲手続き法にもとづく国民投票法制の整備に向けた検討作業を独自に始めています。テーマは投票年齢の十八歳への引き下げや、公務員の国民投票運動規制などです。

 六日に予定される会合では、投票年齢の引き下げに対応して、小中学校、高校での憲法教育の実情などについて意見交換するとしています。教育の点では、改憲手続き法審議の中で自民党の法案提出者は「(投票年齢を引き下げるなら)若い世代に、今の憲法のよい点、時代に合わない点についてしっかりと認識してもらう」(〇六年十二月)と発言しています。同審議会が憲法教育の実情を検討しようとしていることは、二〇一〇年の国民投票法の施行―国民投票実施をにらんで、子どもたちに改憲派の主張を“普及”しようとする動きであり重大です。(中祖寅一)



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