2008年3月6日(木)「しんぶん赤旗」
国民不在の“空転国会”
参院こそ徹底審議を
共産党、与野党に働きかけ
二〇〇八年度予算案と関連法案を審議する参院予算委員会が開会されず空転する事態が四日、五日と続いています。与党は委員長職権により開会を強行しようとしましたが、予算委の過半数を握る民主党会派が欠席したままです。
発端は与党
異常事態の発端になったのは、与党が二〇〇八年度政府予算案と歳入関連法案の衆院可決、通過を強行したことです(二月二十九日)。これは、衆参両院議長のあっせんによる与野党合意(一月末)を踏みにじるものでした。
議長あっせんは、予算案と歳入関連法案について「徹底した審議」を明記し、国会にふさわしく審議を尽くし、明らかになった問題点を予算案や法案に反映させることを求めています。
ところが与党は、審議の前提となる「道路中期計画」(五十九兆円)の内訳を政府が示したわずか四日後、まさにこれから本格審議に入ろうとした矢先に、採決を強行したのです。
与党は、この暴挙に今も無反省のまま。今後の審議の舞台となるはずの参院で、与党側は四日に続き五日も、一方的に鴻池祥肇委員長(自民党)の職権で予算委日程をセットし、六日以降も同様のやり方を続ける構えです。
民主の責任
一方、民主党の態度も極めて重大です。
衆院での審議では、与党が途中で打ち切ってしまったものの、“総額先にありき”で道路づくりを続ける道路特定財源と「道路中期計画」の問題点が次々に明らかになりました。参院でこそ、議長あっせんの立場で、徹底審議を尽くし、国民の立場で、その内容を予算案と法案に反映させるべきときです。
にもかかわらず、その審議をストップさせてしまっているのが、参院の第一党=民主党です。
鳩山由紀夫幹事長は、与党が衆院で予算案と歳入関連法案の採決を強行した直後、「両院議長のあっせんが反故(ほご)にされた。あっせんは、なくなったという認識だ」(二月二十九日)と断定。その後、欠席戦術を続けているのです。
参院では、野党が多数であり、民主党が最大会派です。民主党が徹底審議の立場に立つならば、よりいっそう政府を追及し、問題点を国民の前に明らかにすることが可能です。にもかかわらず、審議拒否を続ける民主党の態度は、予算案と法案の問題点を国民の目から隠したい政府・与党を助けるだけといわざるを得ません。
予算委開け
日本共産党の志位和夫委員長は、与党が衆院本会議で予算案と歳入関連法案の採決を強行した直後の記者会見で、「衆参両院議長あっせんを踏みにじる暴挙だ」と抗議。同時に、議長あっせんが反故になったとの立場はとらず、「徹底した審議」を参院の場でこそ果たしていくことの重要性を強調しました。
四日には穀田恵二国対委員長が会見で「審議を通じて政府を追及し、問題点を明らかにするのが、われわれの基本的な立場であり、その立場からも、直ちに参院予算委員会を開催すべきだ」と主張。日本共産党は、与党、民主党の双方に対し、一刻も早い審議入りを働きかけています。