2008年3月6日(木)「しんぶん赤旗」
バイトだって労働者なんだ
ロリータ・ファッション「BABY」の不当解雇
神戸三宮店 女性4人
労組に加入 初の団体交渉
映画「下妻物語」で主役の女優・深田恭子さんが着ていたことで有名になったロリータ・ファッションのブランド「BABY」の神戸三宮店を不当解雇されたアルバイト女性四人が、解雇撤回などを求めてたたかっています。(兵庫県・秋定則之)
その一人、Aさん(22)=二〇〇七年二月入店、神戸市在住=は、「BABYの店員であることに誇りを感じ、お客様もお店も大好きでした。このまま泣き寝入りしたくない。店に戻りたい」と語ります。同じく解雇された女性(22)=西宮市=も、「大好きな服のブランド。中学生のころから着ていました。働く環境を改善したい」と話します。
Aさんらによると、同店では雇用契約書もなく、社会保険もありませんでした。残業代もでません。店で着用する服を買わされて代金は給料から天引きされます。
ネットで探して
こうした違法行為に加えて女性店長がAさんらスタッフを、「役たたず」「あなたは仕事ができない」とののしることは日常茶飯事でした。「あなたたちが万引きをするから」といって防犯カメラを設置したこともあります。昨年十一月には、勝手に勤務シフトを変更し、週一―二日の勤務にされて給料(時給八百円)が月二―三万円に大幅ダウンさせられました。
店長の問題などを思い切って本社に相談しようとしたら、電話に社長が出ました。まともに話を聞こうとせず「いやなら新宿店にいけばいい」。十一月に再度、「このままでは私たちは辞めるしかない。助けてほしい」と訴えましたが、社長は「辞める人の肩をもっても仕方ない」と突き放しました。十二月十六日、出勤すると店長から解雇をいい渡されました。
「悔しくてたまらなかった」というAさん。見かねた大学生の友人が「解雇は違法では。労働組合に相談すれば」とインターネットで探してくれ、自宅から一番近い兵庫県労働組合総連合(兵庫労連)をすすめてくれました。
兵庫労連の労働相談所で、一方的な解雇はもちろん、「BABY」の待遇は法律違反が多いこと、アルバイトにも労働者としての権利があることを初めて知り、「驚いた」といいます。
Aさんは、同じように辞めさせられた三人とともに、兵庫労連傘下の「地域労組KOBE」に加入。一月十七日、二月四日に「BABY」と団体交渉をし、残業代を支払わせ、社会保険に加入するという成果をかちとりましたが、解雇は撤回しませんでした。
お客さんも支援
「交渉では、お客様や仲間の気持ちを伝えることができました。一言の謝罪もない社長に怒りでいっぱいです」とAさん。「労働組合の人たちが、何の関係もない私たちを応援してくれるのには、びっくりしたけど、うれしかった」と話します。
事件はインターネットの「mixi」で話題になり、事態を知ったお客の女性たちが支援に立ち上がりました。街頭で一緒にビラを配ったり、解雇撤回などを求める署名を四百人分集めてくれました。
Aさんは、二日の兵庫県集会「これでいいのか? 働かされかた」で、「協力してくれるお客様、最後まで一緒にたたかってくれる労働組合のみなさんをみて、真剣にとりくめば絶対に思いは伝わると実感しました」と発言。大きな拍手を受けました。「希望が見えてきた。最後までがんばります」と決意を語ります。
<激励先>「地域労組KOBE」
〒650―0023神戸市中央区栄町通3の6の7
電話078(335)3770
ファクス078(335)3830
メールアドレスsodancenter@able.ocn.ne.jp
BABY(ベイビー) フリルやレースで飾り、「お姫様になったような気分で『かわいい』『きれい』と素直に喜べ」(同社HP)るという“ロリータ服”を製造・販売する会社。販売店は全国二十三店舗、海外一店舗。十代、二十代の女性のなかで人気を博しています。
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