2008年3月7日(金)「しんぶん赤旗」
介護施設に独自の助成
職員正規化・住宅手当5万円
東京・千代田区
東京都千代田区は、区内の介護施設が職員の労働環境改善の措置などをした場合、区独自の助成を行うことを三月議会に提案しました。四月から実施予定です。低賃金・低待遇で介護労働者の離職が増加し、介護現場の人材不足が問題となっているなか、自治体による施設への支援は、全国でもほとんど例がなく、注目されています。
助成内容は、介護施設の非正規職員の正規職員格上げ、パート職員の時給引き上げなどの労働環境改善のための費用補助です。施設が職員を確保し、定着しやすくする目的です。
また、介護職員の住宅手当費用の支援を行います。千代田区内に住む職員には月五万円、それ以外の職員には月二万円を上限に補助します。都心に位置する千代田区の物価高の状況をふまえた対策です。
介護職員の資格取得や、技能向上のための費用なども助成。職員の精神面の負担軽減のためのカウンセリング費用の補助もします。
対象は、二十四時間・三百六十五日サービスを提供する区内の介護保険施設四カ所です。予算は総額三千五百五十万円です。
区の担当者は「聞き取り調査の結果、施設に人が集まりにくく、人が離れてしまうことがわかった。根本的な解決は、介護報酬単価を上げることだが、二〇〇九年四月の次回改定までは時間がある。区として早めに手だてを講じて、介護サービスの質の維持・向上につなげたいと思った」と話します。
助成対象となる介護施設の責任者は「多くの職員は三年くらいで辞めてしまう。職員のモチベーションを上げて、定着していく仕組みとして、区の助成に期待している」といいます。
日本共産党千代田区議団は昨年十一月に介護施設の聞き取り調査を実施。「給料が安く人が集まらない」「福祉の現場は3K(きつい、汚い、危険)です」などの声を受け、区議会などで施設への支援を求めていました。
施設の努力にこたえる内容
木村正明党区議団長の話 今回の区の支援策は、介護職員の待遇改善に向けた施設側の努力に応える内容です。支援策が介護保険料引き上げにつながらないよう、一般財源を充当させる点も評価できるものです。
介護職員の労働環境のいっそうの改善をはかるとともに、児童福祉施設、障害者福祉施設にまで支援策を広げるために、引き続き力を尽くす決意です。
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