2008年3月8日(土)「しんぶん赤旗」
綱領にある「植民地支配の負の遺産」とは?
〈問い〉 日本共産党綱領の「世界情勢」の項の「資本主義の矛盾」の中に「植民地支配の負の遺産の重大さ」という言葉があります。これは何を指すのでしょうか?(兵庫・一読者)
〈答え〉 現在、発展途上国の多くが、「植民地支配の負の遺産」に苦しめられ、経済的活路をみいだせていません。
発展途上国の貧困問題は、支配国(宗主国)の商工業発展のための原料供給地として利用されたことに根源があります。すなわち、土着の経済が壊され、支配国が必要とする単一あるいは少数の農産物・鉱物資源の生産だけに依存する経済に変えられてしまったのです(モノカルチャー経済といわれます)。他方、植民地に必要な物質は外部に求めざるを得ず、支配国の市場として利用されました。
政治的に独立をした後でも、この経済構造は引き継がれました。例えばアフリカのマダガスカル、セネガル、モーリタニア、中央アフリカなど地下天然資源のない西アフリカを中心とする諸国で、独立後の経済を支えたのは、ココア、コーヒー、ピーナツ、バニラ、綿花などの、外貨に換えるための換金作物でした。こうして、特定産品の市況の動向によって一国の経済が大きく左右され、旧支配国に大きく依存する経済構造が温存されました。
これに加えて、アメリカをはじめとする巨大独占資本が、この構造を利潤追求の場として利用したことが今日の貧困問題の原因となっています。
また、植民地時代に、支配国どうしが勢力圏を分け合うために、植民地の歴史的・民族的・社会的関係を考慮せず、勝手に国境線を引いたり、統治をしやすくするために、現地の人々を民族や部族、宗教などで分断し、お互いを争わせること(分断統治)などもおこなわれました。これが、発展途上国での民族紛争の原因の一つとなっています。コンゴ民主共和国(旧ザイール)では、99年〜02年に300万人以上の人々が内乱に巻き込まれて死亡しています。07年7月には再度武力衝突が再燃し、多くの人びとが犠牲になっています。
「植民地支配の負の遺産」とは具体的にはこうした事態をさしています。(満)
〔2008・3・8(土)〕