2008年3月10日(月)「しんぶん赤旗」

労働者派遣法

改正へ“潮目変わった”

共産党 世論と結び 論戦リード


 労働者派遣法の今国会での改正を求める動きが自民党を除く各党に広がっています。派遣労働を原則自由化し、究極の不安定雇用である日雇い派遣をはびこらせた一九九九年の労働者派遣法改悪。反対したのは当時、日本共産党だけでした。それから九年。大きな変化です。(西沢亨子)


「いきすぎた」

 民主党は、党内の作業チームが改正素案をまとめたところです。今後、党内の検討を経て、「四月中には法案を提出するところにもっていきたい」(山田正彦衆院議員)としています。日雇い派遣の禁止、登録型派遣の規制強化を軸に、意見を調整するとしています。

 社民党は二月十三日に、国民新党も二月十四日にそれぞれ暫定的な案を発表。現在、さらに検討をすすめています。(別表)

 公明党は、二月九日に党本部で開かれた全国県代表協議会で太田昭宏代表が、「日雇い派遣の原則禁止の観点から今国会で法改正に取り組む」と言及しました。

 民主党議員の一人は「非正規雇用が全体の三分の一にまでなった。社会の不安定要因になり、消費の落ち込み、景気の失速にもつながっている。党内にはさまざまな意見はあるが、規制緩和が行きすぎた、という反省は広がっている」といいます。法改正を求める集会に出席している公明党議員は「違法派遣が繰り返される現状は放っておけない、となった」と説明します。

99年の改悪で

 九九年の改悪に、日本共産党以外の各党は賛成しました。派遣期間制限に違反した派遣先に直接雇用するよう勧告し、従わない場合は企業名公表、派遣元には罰金を科す―などの法案修正で妥協しました。

 日本共産党は、改悪が「大量の低賃金、無権利の派遣労働者をつくりだし、常用雇用の派遣への置きかえが加速する。雇用不安、社会不安にいっそう拍車をかける」と指摘し、反対しました。

 日本共産党が警告したように、いまや派遣労働者は三百二十一万人、その七割以上が、細切れの雇用を繰り返す登録型派遣です。労働者を人間扱いしない日雇い派遣がはびこっています。法案の修正は何の歯止めにもなりませんでした。

 派遣ユニオンの関根秀一郎書記長は、「雇用がどんどん劣化し、最低限の権利も奪われた労働者が大量に生まれた。『もう、我慢できない』という意識が、ここ数年、目に見えて広がっている。派遣労働者自身が声をあげたことが、変化をつくってきた」といいます。

 日本共産党は、世論や運動と結んで、国会で派遣労働の問題を追及してきました。政党として、いち早く労働者派遣法の改正提案を発表(〇七年十二月十七日)し、法改正の動きをリード。抜本改正を求める日本共産党の志位和夫委員長の国会質問(二月八日、衆院予算委員会)は大反響を呼び、改正に向け「潮目が変わった」といわれる状況を生んでいます。

政府と自民は

 政府と自民党は、今国会で法改正せず、日雇い派遣の「指針」や労働者派遣法の規則改正、「指導監督の徹底」で、お茶を濁すつもりです。

 しかし派遣問題に取り組む関係者は、口々に「指針は、『日雇い派遣労働者の雇用の安定』をうたうが、安定した日雇い派遣なんてありえない」「日雇い派遣の規制にならない」と批判します。

 自民党は「日雇い・登録型派遣を禁止したら、能力などで正社員になれない人の行き場がなくなり、かえって社会不安が広がる」(党厚生労働部会の議員)として、法改正に後ろ向きです。


 労働者派遣法 賃金のピンハネや劣悪な労働条件の温床となる労働者派遣業は戦後、禁止されていました。しかし一九八五年に十六の専門業種に限って解禁された後、相次いで規制緩和され、九九年に原則自由化、二〇〇三年に製造業にも解禁されました。

 仕事(派遣先)がないときも派遣会社に雇われている常用型に対し、登録型は仕事のあるときだけ派遣会社に雇われます。なかでも一日限りの契約を繰り返すのが日雇い派遣です。

表

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