2008年3月11日(火)「しんぶん赤旗」
主張
農業再生プラン
危機に立ち向かう政策提言
「こんな低米価では、米作りは続けられない」「安全な国産がほしいのに輸入品ばかり」―。農家も消費者も、日本の食料と農業はどうなってしまうのか大変心配しています。
日本共産党は七日、「食料自給率の向上を真剣にめざし、安心して農業にはげめる農政への転換を」と題する「農業再生プラン」を発表しました。深刻な農業危機に立ち向かい、国民のみなさんの心配に真正面からこたえようという提言です。
13年ぶりの総合政策
日本共産党が総合的な食料・農業政策を発表したのは一九九五年以来です。記者会見で志位和夫委員長が「食料自給率が39%という世界でも異常な水準まで低下するなど、日本の食料・農業が非常に深刻な危機に直面」し、「食料をめぐる内外情勢も激変している」ことをあげたように、情勢の大きな変化に対応した時宜にかなった提言です。
自民党農政は食料の輸入自由化路線のもとで国内生産を縮小させ、アメリカいいなりで海外依存を続け、中小農家を切り捨てて農業のかけがえのない担い手を土台から突き崩してきました。この自民党農政に今日の困難を招いた最大の原因があると「再生プラン」は糾明しています。
トウモロコシ、大豆、小麦などを原料にした食品や飼料の相次ぐ値上がりは構造的なものであり、これ以上食料の外国まかせは続けられなくなっています。いまや「食料自給率39%という危機的状況から抜け出すことは、わが国にとって『待ったなし』の課題」です。そのために、「再生プラン」は、これまでの農政を厳しく反省し、日本の農業再生の道を真剣に探求し、実行に移す必要があることを強調しています。
自給率向上を国政の重要な柱にすえ、50%台回復を最優先課題とする農政に転換するために、(1)価格保障・所得補償など農業経営を守り自給率向上に必要な制度の抜本的な充実(2)農業の担い手を増やし定着させるための対策の抜本的な強化(3)「食料主権」を尊重する貿易ルールの確立と必要な国境措置の維持・強化(4)農業者と消費者の共同を広げ「食の安全」と地域農業の再生をめざす―の四つの課題を提案しました。
各項目には、自民党農政とたたかい、農家や消費者と連携して実現をめざしてきた要求とともに新たに発展させた政策も少なくありません。
例えば農産物の生産を対象にした価格保障と、生産と切り離して農地などを単位に農家に直接支払いする所得補償との関係を明確にしていることです。農家の経営危機を打開し、同時に生産意欲にこたえるために農産物の販売量に比例した価格保障を基本にし、これに所得補償を組み合わせること、二〇〇七年産米については全国平均で一万八千円(六十キログラム)を保障する仕組みと、これらの施策に必要な財源とをあわせて提起しています。
「再生プラン」は農業の担い手として、中小農家とともに、地域で多くの農地を引き受けている大規模経営や集落組織などの役割を重視する位置づけを明確にしました。「食料主権」を保障する立場から、関税など国境措置の維持・強化を訴えています。諸外国との自由貿易協定は「国民の利益に重大な打撃をあたえる」場合には反対すると、態度の基準をはっきりさせました。
広範な国民に広げよう
この政策を、農業関係者はもとより、消費者・国民に知らせ、食と農を守り、豊かにする運動と世論を広げ、農政転換の大きな流れをつくりだすことが求められています。