2008年3月15日(土)「しんぶん赤旗」

年金2025万件 特定困難

社保庁が照合終了


 基礎年金番号に統合されていない約五千万件の「宙に浮いた」年金記録のうち約四割にあたる二千二十五万件が依然だれのものか分からない状況であることが十四日、社会保険庁のまとめで分かりました。同日、政府の「年金記録問題に関する関係閣僚会議」に報告しました。

 コンピューター上で実施した照合作業の結果、持ち主を特定できたのは最終的に千百七十二万件。既に死亡が判明するなどしている千八百九十八万件を除く二千二十五万件は、「今後さらに解明を進める必要がある」としていますが、特定はかなり困難な事例と見られます。

 政府・与党が三月末までに行うとしていた「照合作業」は取りあえず終えたものの、現状では記録漏れ問題の解決には程遠い状況が浮き彫りになりました。

 照合作業で持ち主を特定するのが困難な未統合記録は、昨年十二月時点の推計では千九百七十五万件とみられていましたが、五十万件増加しました。社保庁は今後、住民基本台帳ネットワークを使うなどして引き続き特定に努めるとしています。しかし、原簿を当たるなどしても解明できない未統合記録が相当数残るとみられるため、最終的にはインターネット上に番号などの情報を公示して国民に協力をよびかけることを検討しています。

 未統合記録の持ち主と特定された年金受給者・現役加入者に送付している「ねんきん特別便」(約千三十万人を対象)は、今月二十一日が最終便になります。


解説

年金記録照合結果

「特別便」の改善急務

 今月末を期限に行われてきた、約五千万件の年金記録の持ち主を探す照合作業の結果、四割近い記録が特定困難であることが明らかになりました。国民の年金への不安・不信は、いっそう増大せざるをえません。政府・与党の国政運営能力、管理能力が改めて問われます。特に、歴代の厚生労働相・社会保険庁長官らの責任は重大です。

 同時に、この問題を党利党略で扱うことなく、「被害者を一人も残さない」という立場で、丁寧かつ迅速な対応に力を尽くすことが求められています。

 なかでも、送付中の「ねんきん特別便」の内容の改善は急務です。

 「特別便」では、記録統合前の加入履歴が送られます。受け取った人が記録の空白や誤りを自分で発見し、「訂正」を申し出なければ記録の統合が進みません。ところが「特別便」には、肝心の情報―記録のどこに空白があるか、結びつく可能性のある記録はどんなものか、など―が一切書かれていません。そのため効果が十分に上がっていないのです。

 四日までに「特別便」が送られた約三百五十六万人は、記録が結びつく可能性が高い人たちです。ところが「訂正あり」と回答した人は、一割にも満たない約三十三万人(9・3%)。「訂正なし」が約八十三万人(23・2%)、未回答が約二百三十五万人(66%)にも上っています。

 「訂正なし」と回答した人に結びつく可能性のある記録の加入期間や事業所名などを示したところ、78・1%の人は記録が結びつきました(社会保険庁発表)。「特別便」の不備は、もはや誰の目にも明らかです。

 日本共産党は、未統合記録についての情報をできるだけ開示し、記憶を呼び起こしやすくして国民の協力を得るよう再三求めてきました。政府は情報を小出しにする今までの姿勢を一刻も早く改めるべきです。(坂井希)



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