2008年3月16日(日)「しんぶん赤旗」
主張
物価対策
早急に総合的な取り組みを
「食べ盛りの子ども二人、食材の値上げで家計はたいへん。光熱費に加え、衣服費も教育費も上がって、パートの収入はすぐふっとぶ」―
昨年末から、物価高に怒る読者の声が目立つようになりました。景気回復といいながら収入が少しも増えないので、なんとか支出を切り詰めてやっと家計をまかなってきたところへ、今度は物価高が暮らしを襲いはじめています。
見えない福田内閣の対策
今年に入ってからでも、食パン、チーズ、しょうゆ、みそ、パスタ、冷凍食品、ビール、コーヒーなど、まさに値上げラッシュです。
政府の統計でも、消費者物価は昨年十二月に続き、今年一月も0・8%上昇し、上昇幅は九年九カ月ぶりの大幅となっています。実際の負担はそれどころではないというのが実感です。
なかでも農水省は、昨年十月に小麦の売り渡し価格を10%上げたのに続き、四月には、さらに30%値上げを決めています。食品値上げに拍車をかけることは明らかです。
生活必需品の値上げラッシュは、ワーキングプア(働く貧困層)や生活保護世帯、年金生活者など、低所得者層の暮らしを圧迫し、「家計の底が抜ける」不安と危機に追い込んでいます。物価高は、消費者だけでなく、中小企業を直撃し、原材料費、燃料費などの高騰による経営悪化で、倒産や廃業寸前の悲鳴があがっています。飼料価格の高騰は、畜産・酪農農家の離農を急増させる事態となっています。
重大なのは、今日の物価高騰が庶民の消費需要を冷え込ませ、消費不況を促進し、日本経済全体にとっても軽視できない段階に入っていることです。日銀の福井俊彦総裁さえ「身近な商品の値上がりで消費者心理の悪化が見られる」などと、「悪い物価上昇」が個人消費を減退させることへの懸念を言わざるを得なくなっています。(二月二十二日の講演)
福田内閣は、昨年十二月に、「緊急対策関係閣僚会議」を開き、原油高騰にともなう「緊急対策」をまとめ、各省庁間の「物価担当官会議」を設置しました。政府の「対策」は、福祉灯油などを実施する自治体への特別交付税による支援のほかは、石油の便乗値上げの監視や価格上昇の影響調査などにとどまっています。食品など各分野にわたる生活関連物資の値上げラッシュに対応する物価対策とはとてもいえないものです。
政府として実効性のある総合的な物価対策を早急に立てて、責任ある取り組みを強めることが何にもまして急務です。
現在の物価高騰の背景には、直接的には、投機マネーの野放しによる原油、穀物、鉱産物などの高騰に加え、新興国の急成長による実需面からの要因、サブプライムローン破綻(はたん)にともなう金融緩和によるインフレ要因など、世界的な要因が複雑に重なっています。投機マネーなどへの国際的規制を実現するためにも、今年のサミット議長国として、日本の責任は大きいといわなければなりません。
軸足を大企業から家計へ
日本共産党は、福田内閣にたいし、石油価格高騰への緊急対策の申し入れ(〇七年十二月四日)、飼料価格高騰への緊急対策の申し入れ(〇八年二月十八日)をおこない、生活防衛、経営危機対策の具体的な提案をして、その実現を求めてきました。
「家計に軸足を」の視点から、総合的な物価対策の位置づけを明確にし、取り組みの強化を求めます。