2008年3月16日(日)「しんぶん赤旗」

「蟹工船」共感の世代

東京で集い 青年ら多喜二を語る


 十五日、東京で多喜二の文学を語る集いが開かれ、青年や日韓の研究者らが語り合いました。参加者は九百人を超えました。

 青年トークで「蟹工船」エッセーコンテストで大賞を受賞した山口さなえさん(26)は、不当解雇され労働組合も助けてくれなかった経験から「私たち世代が絶望にならざるを得ない構造を、現代の蟹工船として書きたかった」と発言。長く派遣で働いた同準大賞の狗又(いぬまた)ユミカさん(34)は「『蟹工船』に共感するプレカリアート(不安定労働者)を代表して言いたい。『私たちをもっといい船に乗せろ』」と叫びました。

 韓国・キョンウォン(●園、●は「日」の右に「景」)大学の朴眞秀(パク・ジンス)教授は、八〇年代の民主化運動のなかで多喜二を研究したが、大学院で「就職に不利」と教授に止められたことを語り、「多喜二の小説と同じように、修士論文を書くことが革命運動の一環だった」と語り、大きな拍手を浴びました。

 和光大学の祖父江昭二名誉教授は「一九二八年三月十五日」を通して多喜二文学の特徴に迫るとともに、志賀直哉の影響と違いについてふれ、「プロレタリア文学運動が挫折した後も、久保栄の『火山灰地』などに受け継がれていった」と話しました。

 女性講談師の宝井琴桜さんが「小林多喜二の母」を軽快に演じました。

 東京・中野区の女性(27)は「私たちも非暴力的だが、ひどい仕打ちを受けている。世の中を変えなければいけないと思った」と話していました。


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