2008年3月19日(水)「しんぶん赤旗」
検定の問題点深める
沖縄の真実を広める首都圏の会
教科書講座開く
「大江・岩波沖縄戦裁判を支援し沖縄の真実を広める首都圏の会」は十八日、東京都内で連続講座の第五回「検証・教科書検定制度の問題点」を開催しました。約六十人が参加しました。
同会は沖縄戦「集団自決」についての日本史教科書記述から「軍の強制」を削除した文部科学省の検定意見の撤回を求めて運動しています。講座では、この運動の中で明らかになってきた検定制度の問題点を現職の高校教科書編集者と子どもと教科書全国ネット21の俵義文事務局長を講師に深めました。
教科書編集者は自身が体験した「集団自決」の記述をめぐる教科書検定の実態について語りました。約二十カ所の検定意見について教科書調査官の説明を聞けるのはわずか一時間であり、沖縄戦の記述についても議論はできないのが実情だったと指摘。訂正申請についても文科省の考え方を押しつけられた経過を紹介し、「検定意見を撤回させなければ沖縄戦の真実を書くことはできない」とのべました。
俵さんは、社会科教科書以外でも問題のある検定が繰り返されているとし、実例を紹介しました。二月に発表された学習指導要領の改定案では国が定めた「愛国心」などの徳目を全教科で「道徳」として指導することになっているが、これが検定基準となるため、文科省はすべての教科書に「愛国心」などを盛り込むことを求めることが可能になると話しました。
「諸外国の教科書制度に比べて日本の検定制度は時代遅れ」と批判し、検定の段階的廃止を目指しつつ、当面、抜本的な見直しを要求していくことが必要だと訴えました。
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