2008年3月20日(木)「しんぶん赤旗」

衆院本会議

在日米軍駐留経費・特別協定について

赤嶺議員の質問(要旨)


 日本共産党の赤嶺政賢議員が十八日の衆院本会議で行った日米特別協定についての質問は次の通りです。


写真

(写真)質問する赤嶺政賢議員=18日、衆院本会議

 在日米軍駐留経費・特別協定について質問します。

県民の人権蹂躙

 まず、相次ぐ米軍犯罪についてです。先月十日、沖縄県北谷町で起こった米海兵隊員による女子中学生暴行事件に対し、深い悲しみと怒りの声が上がっています。少女の思いを受け止め、いま政治が何をするかが問われています。

 一九五五年、沖縄本島中部にある旧石川市で、米兵による少女暴行殺害事件が起きました。「由美子ちゃん事件」です。当時六歳の永山由美子ちゃんが、米兵に車で拉致され、嘉手納基地内で何度も暴行されたあげくに殺されました。由美子ちゃんは、米軍のごみ捨て場で、唇をかみしめ、右手に数本の雑草を握りしめて死んでいるのを発見されました。米軍の直接占領下で、沖縄県民は人権を蹂躙(じゅうりん)され、虫けらのように扱われたのです。

 七二年、沖縄は、日本国憲法の下へ復帰を果たしました。しかし、問題は全く解決されませんでした。日米安保体制の下、「基地の島」沖縄の現実は、何も変わらなかったからです。

 そして九五年、米海兵隊員三名が小学六年生の少女を車で拉致し、暴行するという事件が起きたのです。戦後六十三年間、米軍犯罪は繰り返されてきたのです。政府はこの事実をどう認識しているのですか。

 政府はこれまで、事件が起きるたびに「綱紀粛正」「再発防止」を繰り返してきました。しかし、今回も日米両政府が「再発防止」を言い出した矢先から、米兵による女性強姦(ごうかん)致傷事件、民家や事務所への侵入などが相次いでいるではありませんか。基地ある限り、米軍犯罪はなくならない―政府はこの事実を認めるべきではありませんか。

 今月二十三日には、事件が起こった北谷町で、米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会が開かれます。政府はこの声を正面から受け止め、地位協定の抜本的見直しと基地の縮小・撤去にふみだすべきではありませんか。

 米軍基地の重圧に苦しんできた沖縄で、ジュゴンの住む美しい海を埋め立て、新たな米軍基地を建設するなど、もってのほかと言わなければなりません。基地建設と環境保護は両立しないのです。名護市辺野古への新基地建設はきっぱり断念し、普天間基地はただちに閉鎖・撤去すべきです。

 次に、特別協定です。

 そもそも、日米地位協定二四条は、米軍の維持経費は「日本国に負担をかけないで合衆国が負担する」と規定しています。米軍のさまざまな特権を定めた地位協定から言っても、日本に負担義務はないのです。

 ところが、政府は一九七八年、アメリカの費用分担要求にこたえ、基地従業員の福利費などの負担にふみきり、翌年からは、施設整備をはじめました。その後、一九八七年、急激な円高と基地従業員の雇用維持を口実に、地位協定の解釈からも説明のつかない手当の負担にふみきるために、本特別協定が締結されました。その内容は、給与本体、光熱水料、訓練移転へと拡大され、米軍人・軍属の給与以外の駐留経費は、ほとんどすべてが日本側負担になっています。

負担総額5兆円

 予算額は当初の六十二億円から今や毎年二千億円、七八年以降の負担総額は五兆円を超え、アメリカからは「最も気前のいい国」と評されてきました。地位協定の原則がありながら、三十年にわたる世界に例のない負担を国民にどう説明するのですか。

 わが国自身が巨額の財政赤字を抱え、国民生活の予算を次々と削っているにもかかわらず、どうしてこのような負担を継続するのですか。政府の財政制度等審議会ですら、「従来どおりの負担の継続は適当ではない」と指摘しているのではありませんか。

 日米安保条約がつづく限り、駐留経費の負担を継続するというのが政府の立場なのですか。「思いやり予算」と特別協定は、きっぱり廃止すべきではありませんか。

 政府の財政支援は、「思いやり予算」にとどまりません。米軍基地のたらい回しをすすめるための「SACO関係経費」を支出し、さらには「米軍再編」の名による米国領グアムでの米軍基地建設まで負担しようとしています。このようなやり方と再編計画の撤回を要求します。


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