2008年3月20日(木)「しんぶん赤旗」
クラスター爆弾とは、どんな兵器? 犠牲者は?
〈問い〉 クラスター爆弾は国際法違反の残虐な兵器と聞きますが、どんな兵器なのですか? これまでの犠牲者はどれくらいですか?(愛知・一読者)
〈答え〉 クラスターとはブドウの房のことで、一つの親爆弾から数百個の子爆弾がばらまかれ、戦車群や地上部隊、施設を一度に壊滅させる兵器です。
国際社会がとりわけ問題にしているのが、この爆弾の非人道性・残虐性です。ばらまかれた子弾はすべて爆発せず、1〜3割もの不発弾がでるようにつくられているといわれ、不発弾を拾った民間人を殺傷するように製造されているのです。
航空機爆弾の代表例は、日本の航空自衛隊ももっているCBU―87/B爆弾です。この爆弾は1個に202個の子弾が詰まっています。空中から目標に向けて発射されたCBUが爆発すると子弾が数百メートル四方に飛び散ります。子弾は、サイダー缶ほどの大きさで、外殻はやわらかく、内部にしかけられた全方向につきたつ針が硬いものにあたると爆発するしかけです。しかし、草むらなどに落ちたものは爆発せずに不発弾として残り、衝撃を加えないかぎり爆発しません。知らずに拾い上げた途端、爆発します。
地上発射弾の代表例は、多連装ロケットシステム(MLRS)から発射されるものです。陸上自衛隊ももっています。発射機から打ち出されるM26ロケットには644個の子弾が詰まっています。
クラスター爆弾は子どもたちの興味をひくようにつくられているため、手にとるのをやめろといってすむことにはなりません。爆弾は「正確に狙うのが難しく人口密集地において不規則なパターンで展開する部隊を対象に使用」(NGO「ハンディキャップ・インターナショナル」昨年5月発表の「被害の連鎖―クラスター爆弾による人々と地域社会への致命的な足跡」と題する報告書)され、はじめから民間人をまきこむことを前提にされているのです。
この残虐な爆弾の保有国は「70カ国以上」にのぼり、子弾の爆発による犠牲者は、確証・記録されただけでも24カ国で1万3300人、見積もられる犠牲者は5万5000人〜6万5000人にのぼります。(前出報告書)
クラスター爆弾は、国際人道法違反が明白です。昨年2月、ノルウェー政府がクラスター爆弾禁止国際会議をよびかけ、46カ国と国連機関、赤十字国際委員会、国際人道団体が集まり、08年末までに同爆弾の使用、生産、移動、備蓄を禁止する条約制定をめざす宣言を発表、全面禁止に向けての「オスロ・プロセス」が大きくすすんでいます。国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は、昨年11月の特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の締約国会議でこの爆弾が国際人道法違反であり、全面禁止すべきだとする公式声明を発表、全面禁止条約を結ぶよう、国連として初めてよびかけました。(山)
〔2008・3・20(木)〕