2008年3月22日(土)「しんぶん赤旗」
残虐爆弾禁止めざす「オスロ・プロセス」とは?
〈問い〉 クラスター爆弾で片足を失った少年の姿をみて、胸をつかれました。この爆弾の全面禁止をめざす「オスロ・プロセス」がすすみつつあると知りましたが、どんなものですか。こんな残虐な爆弾の全面禁止に抵抗している国はどこですか?(東京・一読者)
〈答え〉 「オスロ・プロセス」とは、ノルウェー政府がよびかけたもので、クラスター爆弾の全面禁止をめざすとりくみのことです。
同政府が「オスロ・プロセス」を提案したのは、本来、この問題を論議すべき国連特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)締約国会議が、クラスター爆弾の温存姿勢を変えず、議論を始めないことに業を煮やし、有志国が主導しない限りクラスター爆弾を禁止できないと判断したからです。
06年11月のCCW検討会議が終わった17日、ノルウェーの外務大臣は、「今週のCCW検討会議がクラスター爆弾の禁止のための交渉開始の合意に達しなかったことを残念に思う」とのべ、クラスター爆弾禁止を進展させるオスロ会議を提唱しました。07年2月に開かれたオスロ会議には49カ国が参加し、不発弾になる割合を低くして温存したいというドイツ、イギリスなどを含めて46カ国が、08年末までに全面禁止条約を締結すると明記した宣言に賛成しました。
宣言に棄権した日本、ポーランド、ルーマニア3国の行動が異常視されたのは当然です。
以来、同年5月リマ(ペルー)、7月サンホセ(中米コスタリカ)、12月のウィーン(オーストリア)会議には国連加盟国の7割にあたる138カ国が参加しました。今年2月ウェリントン(ニュージーランド)の会議を経て、5月のダブリン(アイルランド)会議で条約案を確定し、各国に署名、批准を求め、12月に条約を発効させる計画です。
しかし、「オスロ・プロセス」は順風満帆ではありません。フランスやドイツ、イギリス、オーストラリアなどが、不発弾になる割合が低いものは禁止対象からはずせと主張しています(日本政府もことし一月のCCW政府専門家会議でこれと同じ主張をしています)。こうした国々は、つまるところクラスター爆弾に固執する勢力として、国際社会からは痛烈な批判をあびています。たとえば、NGOのクラスター爆弾連合のトーマス・ナッシュ調整官は、「問題はアメリカ、イギリス、日本、フィンランド、フランス、ドイツ、オーストラリアなどの国が条約を弱めようとしていることだ」とのべています(07年5月27日付本紙)。
アメリカ、ロシア、中国などは「オスロ・プロセス」に参加せず禁止に反対しています。また、日本やイギリスなどのように「オスロ・プロセス」に参加しながら、その内部で全面禁止条約の実現を妨げようとする妨害勢力の動きも小さくはありません。しかし、日本などの爆弾温存勢力が「オスロ・プロセス」に参加したこと自体、国際世論を背景にした有志国の全面禁止のとりくみを無視できなかった産物といえます。(山)
〔2008・3・22(土)〕