2008年3月24日(月)「しんぶん赤旗」
奨学金でシンポ
1日食費315円/貯金取り崩す
返還必要ない給付制に
日本の異常な高学費で子どもや学生、家計がどのような影響を受けているのかを交流し、奨学金制度の拡充を考えるシンポジウムが二十三日、東京都内で開かれました。主催はシンポジウム実行委員会。十団体、約五十人が参加しました。深刻な実態をパネリストや参加者が報告し、教育費の無償化と返還の必要のない奨学金をつくっていこうと確認しました。
全学連の副委員長が東京大学で世帯年収四百万円以下の学生が全額学費免除になったと紹介し、学内での聞き取り調査を進めてきたとのべました。一日の食費を三百十五円に抑えている学生、大学で洗濯、シャワーをしているという学生などの例を紹介しました。
新婦人の米山淳子事務局長は教育費の実態アンケートの内容を紹介。大学生を抱える家庭では家計を切り詰め、預貯金や年金、退職金を充てる、祖父母や親せきからの援助、教育ローンの借金、定年後も働いて学費を工面しているとのべ、生活全体が教育費で脅かされていると話しました。
日本学生支援機構労働組合の藤井和子中央執行委員長は一九九八年からの十年間で有利子奨学金の利用者が十倍に増えていると報告。全国生活と健康を守る会の代表は夫が失業し、大学院に入った子どもの奨学金の返済が一千万円にのぼると予想され、将来が不安だとのべました。
日高教の代表は実態調査から「『ローンズ育英』という金貸しだ」との告発が寄せられていると報告しました。
三輪定宣千葉大学名誉教授・「奨学金の会」会長はフィンランド、デンマーク、アメリカなど海外の給付制奨学金の制度を紹介。日本の教育予算は経済先進国OECD加盟国三十カ国の最下位であり、平均並みに引き上げることで学費補助・軽減が可能であることを示しました。
実行委員会の中心となった「奨学金の会」では、「教育の機会均等」を保障する給付制中心の奨学金をつくることを求める署名に取り組んでいます。
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