2008年3月26日(水)「しんぶん赤旗」

国保料高い 医療費払えない

受診遅れ 31人死亡

民医連の07年調査


 高い国保料、医療費を払えず病気になっても受診が遅れ死亡に至った人が昨年、三十一人にのぼっていたことが全日本民主医療機関連合会(全日本民医連、鈴木篤会長)の「国民健康保険死亡事例調査」で二十五日、明らかになりました。

 全日本民医連には、全国千七百を超える病院、診療所などが加盟しています。十八都府県連から死亡事例が報告されました。国民健康保険証が発行されず、いったんは医療費が全額自己負担となる資格証明書を発行された人の死亡例は五人、短期保険証が七人、無保険が十五人でした。保険証があっても経済的な理由で受診の遅れた人も四人います。

 事例調査では「国保証が交付されず、受診を控え手遅れになり死亡するという悲惨な事例は減ってはいない」としています。四月から実施予定の後期高齢者医療制度では、これまで老人保健法で発行が認められなかった資格証明書の発行ができるようになります。病院へいけず重症化するケースがふえるのではないかと心配されています。

 調査結果の年齢別では六十代が十六人と多く、三十代も二人含まれていました。無職が十二人と最も多く、続いてパート、アルバイトなど非正規の労働者が七人と多くなっています。年金生活者も五人いました。

 資格証明書が発行されていた人の例では、病気で職場を退職、不況で自営業を廃業など生活が困窮し国民健康保険料を滞納、保険証を取り上げられています。入院時にケースワーカーがかかわり生活保護の取得ができましたが、手遅れで死亡しています。

 全日本民医連は短期保険証、資格証明書は発行を直ちにやめること―など七項目の提案をしています。

 調査結果を記者会見で発表した全日本民医連の大河原貞人事務局次長は「病気になる前の仕事を失ったとき、生活困難時に生活保護など社会的援助が受けられる仕組みがあり、本人が知っていればこのような悲惨な例は生まれない。生活困窮者への社会的支援の在り方と住民への制度周知が問われている」と語りました。



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